ブリーフ&トランクス「ブリトラ道中膝栗毛」

ブリーフ&トランクス「ブリトラ道中膝栗毛」
2012年に再結成した男性デュオ、ブリーフ&トランクスの7th。
生きるとはつまりこういうこと。
迷曲、珍曲の類が大半を占める彼らの2年ぶりのアルバム。「オダギリ的人生ラジオ」と称したラジオ番組風の構成になっています。『番組内でアルバムの全曲を流す』という設定の時点ですでにおかしいのですが(笑)
「発砲スチロール」は発泡スチロールを擦る彼女に対して一触即発くらいな思いを抱きながら、それを爽やかに軽やかに歌い上げる曲。発泡スチロールの豆知識が役に立つことがいつか来ると思います。
「洗濯機」は、愛する人と同棲を始めたはいいが、その彼女が機械音痴(というか家事全般ができない)で洗濯機の使い方を知らなくて…というストーリー。終盤の畳みかけがお笑いネタとして実にナンセンスな方面に突き進んでいて秀逸。彼の優しさが眩しいぜ。
「メラメラスクリーム」は思わず叫んでしまうようなエピソードネタが中心のシングル曲。この曲を聴くと見事に食欲が失せるので、ダイエットしたい人にはおススメしたい。これはファルセットではない、奇声だ。
ド直球だが割と深刻な悩みでもある下ネタソング「下痢気味」、一見オシャレだが考えていることは中学生並の下ネタソング「ズッキーニ」とここの流れは文字通りダーティーであり、彼ららしさがよく出ています。
「別売りの悲しみ」は比較的上品なあるあるネタ。コンビニのサラダのドレッシング別売りとか、ライブのドリンク代別とかは確かに損した気分になりますね。
インタールード的な「オダギリ的人生ラジオB」は曲ではなくて、DJのトークとCMが入る。CMのナンセンスさが最高。
「水族館」では、水族館に来た客の感想が"高等動物"として如何なものかと問い質す。でも結局しょぼい感想しか発していませんが。怪しげな曲調が割と好き。
「渋滞37キロ」は高速道路の渋滞時に必ずと言っていいほど発生する"尿"問題に果敢に切り込んだ曲。お調子者にもほどがあるので、女の子から怒られるがいい。
「引きこもリズム」は妙にリアリティのある引きこもりソング。終盤の歌詞はガチ勢は経験しない気がするので詰めが甘い。マイナーコードの哀愁は良い感じ。
「変わりゆく街で」は安心安全の細根ソング。何事もなかったら細根さんの曲だと思って間違いないが、それ以上に取り上げることがナッシング。
「禁断の恋唄」はちょっと危ない三角関係を無邪気にポップに歌う曲。ここぞとばかりに使う例えが素人臭くて愛らしくて抱きしめたくなります。
「ホルモンを飲む瞬間」は伊藤氏のソロ曲のリテイク。この着眼点の狭さ。お笑いというのは発見と発想によって構築できるものだと思っているのですが、彼らのくだらないところを見逃さない発見と、そこから派生してさらにくだらない発想をする曲作りには感嘆せざるを得ません。
「マザーコンピューター」は母親との思い出話を軸にした綺麗な曲。このタイトルには照れくささも含まれているんだろうな。
ラストの「オダギリ的人生ラジオC」では『咳』をリミックスするという新手のアンビエントまで収録されています。短いけど、無駄にレベル高い。
冷静に聴くと小中学生並のセンスなのですが、さらに冷静に聴くとこれこそ人間の本質を示した音楽なのではないかと思えてきます。どんな人でも生きていればどこかで起こりうることがテーマとして多く選ばれており、綺麗なものと汚いものが混ざった生々しい『生』を実感することができます。(中には絶対ねーよというものもあるが)あとは、前半に愛情表現を含んだ曲が多かったのが印象的でしたね。例え愛があってもそこには障害となるものが必ずある、その時にあなたは愛する人の全てを受け入れることはできるのかという彼らからのメッセージが幻聴のように聞こえてきます。いや、本当にただの幻聴かもしれません。綺麗事ばかりの歌詞が氾濫するJ-POPに見切りをつけたい人におススメの一作です。
★★★★
ズッキーニの動きやめい!
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