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気になる邦楽アルバムを中心に音楽レビューをしていました。

 

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中島みゆき「ララバイSINGER」 

ララバイSINGER
中島みゆき「ララバイSINGER」
北海道出身の女性シンガーソングライター、中島みゆきの34th。
若手アーティストのレビュー主体の当ブログにおいて、いきなり大御所中の大御所が降臨。何事かと思う方もおられるかもしれませんが、相互リンクしているブログの間で非常に評判の良い作品だったので聴いてみました。ちなみに彼女のオリジナルアルバムをちゃんと聴くのはこれが初。「大吟醸」と「Singles 2000」は実家にあったかな程度。レビューまで書くのは正直迷いましたが、彼女の音楽を自分の持ち合わせている言葉でどう表現することができるのか個人的に興味があったので、書いてみた次第です。と言いながらネタに逃げようとする悪癖が…

「桜らららら」はアコギとストリングスでフォークっぽい穏やかな始まり。いきなり圧が凄いのが来るのかと思いきや、なんだか和んだ。
前曲のアウトロから繋がって始まる「ただ・愛のためにだけ」。ここの繋ぎ方絶妙だな。ふとコードが切り替わるあたりとか特に。早くもクライマックスな様相を呈しているとさえ思った良曲。おお、このサビは鳥肌が。ギター伴奏も哀愁が感じられてすごく好み。あ~良いアルバムだったな…ってこれまだ2曲目じゃないか。

「宙船」はTOKIOへの提供曲として広く知られる言うまでもなく名曲。良い曲はあるにはあるが他のジャニーズグループに比べるとパッとしない印象があったTOKIOを、一気に本格派アーティストに押し上げたと言っても過言ではない曲。長瀬のようよう高くなり行くボーカルに比べ、こちらはどっしりとドスの利いた感じで、今にでも船を漕がないと尻をひっぱたかれそうなくらいの勢いがある。いやそれだけでは済まないかもしれん。アレンジはストリングスを導入する等の変化が見られる。ややまったりした部分が出ているのがちょっと緊迫感に欠けるというか、もっと全体的に激しくてもいいかも。ボーカルを立てるという意味ではこのくらいでいいのか。このあたりは好みですね。TOKIO版でそのまま歌ったらどうなるのかも気になるところではある。
「あのさよならにさよならを」はどこかで聴いたことがあるようなと思ったら、華原朋美への提供曲か。でもその時に聴いたのかは定かではない。前曲の勇ましい突き放しっぷりに対して、こちらは包容力を強く感じるスローな曲に雰囲気が一転。なるほど時代劇主題歌だから、イントロにいぶし銀な感じを含んでるわけか。職人かたぎのおやっさんの哀愁漂う背中が目に浮かぶね…ってそういう話ではないのか。歌い終わりに若干の不穏を余韻として残しているのは気のせいか。

「Clāvis -鍵-」はラテン系でまた熱量アップ。好きですね、このノリも。ややぶっきらぼうな歌い方は単純な上手い下手で区別できない領域に突入してしまった。規格外、計測不能のボーカルワーク。どこかのレビューで、鍵ってエロ要素で使われるよねというたわけたことを抜かしていた私は、鍵を探し出すことができるのだろうか。
「水」は"水を探していた"という詞から始まる落ち着きのある曲。"水"を連呼しまくっているが別に砂漠でオアシスを探している歌ではない。もっと深い意味。ここで指しているものは『必要不可欠なもの』としての"水"という意味ももちろんあるのだろうが、"あなたが私の水"なのに『私があなたの水』ではないことが意味深である。意味深とか書いてまとめてしまうと思考停止してしまうので、もうちょっと考えた方が良いですね。宿題にします。

「あなたでなければ」は前曲に比べればだいぶストレートに思いの丈をぶつける系に変わる。一本気な詞に相まって高らかに歌い上げるサビ。そんな高らかに歌われても逆に"あなた"の方が困惑するんじゃないのかと無意味な心配をしてみる。余計なお世話だ。テーマ的にはJ-POPにおいて腐るほどあるような一途な恋愛曲なんだけど、ここでも持ち味を十分発揮しておられる。アルバム中盤の盛り上げ役な存在感。
「五月の陽ざし」はまた大人しい曲に。贈り物に関してなんか分かるなーという1番の詞、最後に"ドングリ"が登場。"ドングリにまで気の毒なことをしました"ってすごく繊細。さっき、船を漕げとかあなたでなければ駄目なんですとか言ってたのは同一人物なんですかねえ。

「とろ」。なんだこれは。どなたが歌っているのですかと聴きたいくらいすっとぼけたような別人の歌声になる。素の喋りに近い気もするが。これぞ表現者だなって気がしますね。最近の歌手もリズム、音程、声量等のカラオケの採点上は申し分ない人が多いわけだが、こういう全くベクトルの異なる曲を自在に歌いこなすことができる人は一掴みしかいないと思う。というかこのレベルで変われる人は若い層ではまず見たことがない。タイトルの由来は「とろい」であり、同世代の谷山浩子の「素晴らしき紅マグロの世界」に感化されて作ったマグロソングというわけではない…はず。
「お月さまほしい」はAメロは「とろ」の歌い方を若干引っ張って、Bメロから元の歌唱に戻る。前曲からの緩衝材としてこのAメロの歌い分けがあるのだろうかと勘繰ってみたが真相は知らない。サビへ向けての緩やかなクレッシェンドの仕方が凄まじい。暗いサビが突き刺さってきますねえ。悲哀がこもった間奏も良いです。一見可愛らしいタイトルにしているのはギャップ萌えですか。違いますか。

「重き荷を負いて」は応援歌の意味合いが強いが"がんばってから死にたいな"という鮮烈な印象を与える詞からいろいろと考えさせられる。どこかで読んだ星野源のレビューの中で、彼は帰着点として必ず死を見据えた詞を書いている的な評があって感心したのを覚えているが、この曲はまさに死を見据えた上での励ましを綴っている。一般的な応援ソングであれば、頑張れや負けるなみたいなニュアンスの単に鼓舞をするだけの曲が普通であると思うが、真実にしっかりと目を向ければ帰着点は必ず死なのである。ただ、それは決して悲観的で無常というものを表したくて使っているわけではない。いわば『死に物狂い』という言葉の置き換えとしてこの詞を書いているような気がする。人を励ますにあたって、それを言っちゃお終いだというお終いをあえて意識させることで、今をより輝かしいものにしようというメッセージが含まれると受け取ってみた。重き荷を『置いて』は駄目だということですね。
「ララバイSINGER」はラストの表題曲。子供だけでなく大人のための子守歌という位置付けでよろしいかと。締めとして申し分のない余韻に浸れる。あわよくばこのまま眠りにつければさらに幸せだろう。

世間的な評価の高さを抜きにして、個人的な尺度でも名盤の域に余裕で入る作品だった。あえて不満点があれば辛辣に書こうと臨んだつもりだが、あえなく完膚無きまでに打ちのめされるという結果に。
アルバム構成としては、前半は提供曲攻勢なのだがそもそもを知らなくても十二分に楽しむことはできる。楽曲自体がいずれも秀逸。「宙船」は知っていたのできっと本人が歌っても良いのだろうなという凡人的な予想の下聴き始めてみたが、その手前の「ただ・愛のためにだけ」にいたく感銘を受けてある意味「宙船」以上の衝撃だった。提供先との歌い方の比較をしてみるのも一興でしょう。後半になると一曲ごとの歌い分けの幅広さに耳が行く。「水」~「お月さまほしい」の流れはとくに凄いと感じた。今の曲とさっきの曲雰囲気変わり過ぎだろというベタツッコミはさておき、一曲一曲が一本筋の通った主義主張があることで安心感が得られる。寄せては返す波のごとく、アルバム全体がゆりかごのようにゆらゆらと揺さぶりをかけて最後にララバイを持ってくる。これはさぞ安らかに眠れることでしょう。ただし、曲によっては気持ちが昂って眠れなくなる可能性もあるので用法用量にはご注意を。

★★★★★

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コメント

お気に召された、無事名盤認定いただけたようで何よりです

リクエストしたSATOSHIさん以外にもフォロワーさんで二人、聞いてくれた方がいるのですが、いずれも非常に良い反応が返ってきました

「名盤」と呼ばれる、呼べる作品は数あれど、その中で間口の広さにおいてこれを超えるものはそうはないと思います

とりあえずこれ一枚で大御所たる由縁はご理解いただけだと思うので、今後少しずつ他作も聴いてみてくださいね

URL | proser #jDCNsbos

2013/09/15 00:43 * edit *

Re: タイトルなし

余計な文章の多いレビューですが、評価としては手放しに素晴らしいと言える作品でした。
これまでの彼女の作品に対してほとんど知識がないのにこれだけの言葉が出せることからしても、作品そのものの凄さが際立っていると言えますね。
他作品も進んで聴いてみたいと思います。

URL | hawaiibem #-

2013/09/15 01:39 * edit *

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