hawaiibem's music blog

気になる邦楽アルバムを中心に音楽レビューをしていました。

 

いきものがかり「I」 

I(初回生産限定盤)(DVD付)
いきものがかり「I」
神奈川出身の男女3人組ユニット、いきものがかりの6th。
超メジャー級アーティストのレビューは不思議と書くことが多くなります。

1~3曲目は水野作曲。いきものがかりらしさを築くシングル曲の大半は彼の作曲。
「笑顔」はポケモン映画主題歌。優等生的J-POPのまさにお手本のような曲。ポジティブソングだが押し付けがましくない。この一歩引いた感じはやはり上手いと言うべきか。終盤の転調とかも基本に忠実。お子様にも安心して聴かせられる。
「1 2 3 ~恋がはじまる~」もシングル曲。ウキウキしていいんじゃないでしょうか。これまた王道スタイルで、取り立てて拾うようなメロディーや詞が特にない。
「ぱぱぱ~や」はシングルでは絶対披露されないであろうアルバム曲らしいアルバム曲。オトナ路線なのだがギャグっぽくも聴こえて、どっちつかずな印象。いやギャグのつもりは元からないだろうけど。とりあえず5分もやる曲ではない。

4~6曲目は山下作曲。彼が作曲する4文字の作品は当たりが多い法則がある。水野氏より影響元がはっきりしているというか、純粋に歌謡曲的だからか知らないが、彼の作曲の方が好み。
「恋跡」は失恋ソング。太田裕美とかの70~80年代歌謡要素がやはり強い。
「ハルウタ」は当ブログでも出現率の高い江口亮アレンジ。彼は今作ではこの曲でしか仕事をしていない。なんということだ。今作で一番好きな曲。センチメンタルなフックが程よい。雰囲気的には「青春ライン」や「ブルーバード」に近い気がしたが、いずれも江口氏が編曲を担っている。どんだけ好きなんだ(笑)
「マイサンシャインストーリー」も車のCM曲としてお馴染み。キラキラしております。畳み掛けるサビが印象に残る。一続きに歌い上げる部分もなかなか。サビの最後の一音がその音なんだという意外性も若干あり。

「なんで」は水野作曲。なんで6分もあるのか。ゆったりした片想い系ラブソング。一本調子なのにこれだけ長尺で展開できる構成力に逆に感心する。そこまで"なんでなんで"を反復する必要があったのだろうか。
「あしたのそら」は山下作曲。カップリング曲なのか。「ハルウタ」に続いて好きな曲。カントリーとアイリッシュ要素のあるアレンジが素敵。本間さん編曲か。間奏部分とかはSeanNorthを思い出す。「結婚しようよ」も頭をよぎった。
「風乞うて花揺れる」はタイトルから和風曲を想像していたが、そうでもなかった。悪い曲ではないが穏当過ぎる印象。彼らに過激さを求めるのもナンセンスだが。これまた展開が大きく変わらないのに長め。
「MONSTAR」ははっちゃけ系のアルバム曲。こういうのも必ず入れることになっているのね。別にこれはポケモンとの関与はないよね。綴りを変えて捻った部分が曲の方からは伝わらず。

「恋愛小説」は歌謡曲一直線。懐かしいを通り越して古めかしい。これは意外にも水野作曲か。まあ結局二人とも源流はあまり変わらないんだろうな。
「東京」は聖恵さん作曲。派手さはないが意外と良い曲を作ると期待している存在。ただ今回はやけに古風で新しい風が吹いていない。神奈川から東京に行くだけで"Journey"を使う壮大さがある意味凄い。もっと遠くから来てる人はどうしたらいいんだ。
「風が吹いている」はオリンピックテーマソング。大曲主義ここに極まれり。もちろんオリンピックのハイライトを想定してのこの長さなんだろうけど。まさかもう紅白トリを務めるとはねえ…
ラストは「ぬくもり」。J-POPで散見されるワードが盛り込まれ過ぎていて全体的にぼやっとした印象。結局"「ありがとう」"って前もやってたでしょと。「風が吹いている」の壮大な締めでも十分このアルバムは成立していると思ったのだが、それでは駄目だったのだろうか。

メジャーデビュー以来、聴き続けているが、ホントに大きくなってしまったなあとしみじみ思う。老若男女に愛されるポップバンドとして紅白では紅組トリを務める等、2000年代後半以降、最も躍進を遂げたアーティストと言ってももはや過言ではない。アニメ、CM、ドラマ、映画、合唱、オリンピックと次々とタイアップの幅を広げてファン層を拡大していった様は圧巻だった。それらタイアップでその都度、新規のファンを増やしていき、オリジナルアルバムでまた違う一面を見せる。彼らのオリジナルアルバムはどこから入っても無理なく受け入れられるはずなので、新規ファンもさらに増やしやすいのが強みだと思う。
個人的には、ミディアムナンバーと呼ばれる類の曲がシングルとして立て続けに出るようになってから、正直なところちょっと冷め始めている。その感じは上述の感想を見てもお分かりかと思うが。結局、ミディアムって何なんだと。感情どこいったんやと。それは置いておいて今作の話だが、とりわけ何かが変化した様子はない。すこぶる安心な内容。新機軸と言われるような曲もこれといってなかったように思う。歌謡チックな曲がある意味挑戦だったようだが、以前からそういう曲はあったし、アルバム曲として良いアクセントを生んでいるジャンルとして既に認識している。あとは一曲ごとが長いのがやはり気になる。こことコブクロは長い印象が強い。オリジナルでは過去最長記録を更新している。真摯さは伝わるが箸休めももう少しあってもいいはず。

水野、山下両氏の作風の違いを聴き比べるのが楽しみ方の一つなわけだが、今作も割りと分かりやすく色が出ていた印象。水野氏はじっくり時間をかけるスタイル、山下氏は直感的で素早く作るスタイルで各々作曲をしていたと記憶している。水野氏の場合は、均整がとれていて構成もきちっとしたものが多く、アッパーでぶっ飛んだ雰囲気の曲であっても振り切れ過ぎない。山下氏は、ふと引っかかってくる良いフレーズが出てきやすいが、ハマらない曲はとことんハマらずに惰性の如く終わることもある。といった具合。ただし、ゆったりした曲になると両者の違いが見え辛くなる。水野氏作曲のシングル曲がいきものがかりの顔的な存在になっているが、山下氏の曲ももっとシングルにした方が変化に富んで面白いのではないかと前々から思っている。作詞と作曲を分業してみるのもアリかと。
ある意味、ここまで軌道に乗れば冒険をする必要性もないのかもしれず、ゆずやaikoに似た路線で安定した作風を貫くのが求められているのかもしれない。幅広いファン層を築くポテンシャルは例に挙げた2組以上だと思うので、今後も純然たる古き良きJ-POPの担い手として見守っていく所存です。

★★★☆


このレビュー自体が無駄に長いことは棚に上げておこう。


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