hawaiibem's music blog

気になる邦楽アルバムを中心に音楽レビューをしていました。

 

ミドリカワ書房「東京十景」 

東京十景
ミドリカワ書房「東京十景」
北海道出身のシンガーソングライター、ミドリカワ書房の2014年のアルバム。
いつになくリアルを感じた10の風景。

デビュー10周年という節目にリリースされた3年ぶりのアルバム。『J-POP界の無頼派』として様々なグレーゾーンに切り込んだユニークな歌詞を特徴とするSSWですが、今作は自身にもフォーカスを当てつつ、これまでとは雰囲気が少し異なる作品となっています。

東京での生活のほんの一場面を切り取った「トーキョー」はアーバンな雰囲気も漂っていてさっそく良アレンジ。「エッチばっか」では女性目線でエグイくらいに生々しい性生活が描かれており、ラストでは思わず股間が縮み上がります。「すごいきらい」も同じく女性目線の歌詞で"きらいきらい"を連発させているのですが、どこか未練ましてや希望すら感じてしまうのは、曲調がとことんポップだからでしょうか。

リード曲「花火大会」は今作のマイベスト。フォーク全盛期の頃から流れていたような名曲オーラ。一番と二番の対比が実にセンチメンタル。彼にしては非常にストレートな表現をしているなと。「戻れないから 仕方ないから」もノスタルジックで緩いメロディーに妙にほっこりさせられます。一般的なJ-POPでは運命的なものとして描かれる男女の出会いを、"運の尽き"と表現するセンス。こういう妥協がありながらも前に進んでいこうとするシチュエーションになんか憧れもあるなあ。「ババアは嫌いさ」は暴言めいたタイトルが目を引きますが、中身は一途なまでの純愛ソング。まったく捻くれてやがる(笑)

「むなしい」は貧乏をテーマにした曲。メロディーのおかげで悲壮感こそ感じさせないですが、"「金で愛は買えない」なんて 金持ちのたわごとじゃねえか"といったフレーズを始め、突き刺さるものが多いです。古いのか新しいのかきっちりしていないタイトルの「旧江戸川(新録)」はネガティブが最高潮に達した曲で、シリアスかつドラマチックな構成にはこれまで以上に力強さを感じます。

暗いテーマが続いた後の「人間応援歌」は自らを鼓舞するような応援歌になっており、単純明快なメッセージに勇気づけられます。ちゃんとオチをつけるとは律儀だ。ラストの「スカイツリー」は街の情景を歌ったどこか懐かしい風情のあるフォーク。普通に良い曲だぞ、どうなってるんだ(笑)

やはり東京という街は歌になる。そこは多くの人間が集まるところであり、人間の数だけドラマが生まれる。そんなたくさんの人の集まりの中で、自分の在り方も考えさせられる。彼はこれまでも様々な人間を主人公に曲を作ってきて、こんな感じで一目置いている存在なわけですが、今作はよりパーソナルでリアルさを増した物語が紡がれていると思います。往年の哀愁漂うフォークシンガーな風格が出てきて、これまでのタブー?なにそれ?おいしいの?的な攻めの姿勢が薄れてしまった点はある種の寂しさを感じました。しかし、小市民的で身につまされるエピソードの歌詞とシンプルイズベストなメロディーのセンスは錆びていませんね。街の景色が変わってもそこに生きる人の思いっていつの時代も案外変わらないものだよなあと思いつつ、2度目のオリンピックが催される日を待っているのでした。

★★★★


オトナ検定3級:行きつけのスナックができる。


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category: アルバムレビュー

PHONICLINE「Frames」 

Frames
PHONICLINE「Frames」
2013年結成の男女5人組ロックバンド、PHONICLINEの初の流通盤2ndミニ。
メロディックでエモーショナルな爽快サウンド。

前情報もなくリード曲「Flames」を試聴して、すぐに好きだなと感じたバンド。メロディックでパンクロック的な勇ましさのある演奏とクリアな女性ボーカルが特徴ですね。

冒頭の「MUSIC」は早急で捻りを利かせたイントロに一気に引き込まれるダンスロック。流れるようなギターリフとファルセットの綺麗なボーカルの融合にはうっとりさせられます。続く「Flames」はパンクロックの常套的な力強い表現と流行りのダンスロックを掛け合わせた曲で、メロディーも実にキャッチーで爽やかさを残してくれます。

「ノスタルジア」はノンストップで突き進む演奏の痛快さと歌詞のセンチメンタルさがグッド。「Brand New Shine」は演奏がゴリゴリでアグレッシブなのですが、ボーカルをしっかり立てた構成になっており気持ちよく聴けます。ラストの「Canvas」はエレクトロ+鍵盤をフィーチャーしたアレンジでややポップな仕上がりに。コーラスも含め、密度が濃くて良いなあ。

これまで紹介したことがあるバンドで言えば、SECONDWALLRONDONRATS。あたりが好きだったら100%ハマると思います。彼ら同様にメロディーが日本的で親しみやすく、泣きの要素を含みながらも力強いボーカルにも惹かれるものがありました。音が激しいのにボーカルが綺麗系だったり幼い感じだったりするのはやはりどスケベストライクなんでしょうね。この手のバンドはなかなか芽が出なくて歯がゆい思いをすることが多いのですが、今後さらに枠にとらわれない楽曲作りに期待したいです。

★★★★


SME社員だったらアニソンにすぐ抜擢するんだけどね…


category: アルバムレビュー

AKINO with bless4「Decennia」 

Decennia (DVD付初回限定盤)
AKINO with bless4「Decennia」
4人兄妹の音楽ユニットであるbless4のメンバー、AKINOの2nd。
10年分のパワーを集結させた準ベスト盤。

"一万年と二千年前から愛してる~"という印象的なフレーズの「創聖のアクエリオン」で一世風靡したAKINOの8年ぶりのアルバム。ソロ活動10周年を飾るパワフルな楽曲を集めた作品となっています。

前半6曲は菅野よう子による「アクエリオン」シリーズの楽曲が並んでいます。アッパーな曲はどうしても初代の二番煎じ感を拭えないでいますが、"絶望的に君はきれいさ"(「パラドキシカルZOO」)、"全力で未完成"(「君の神話 ~アクエリオン第二章」)といったユニークなGabriela Robin節は素敵。菅野さんの楽曲はときおり演出過剰じゃないかと思えるくらいに盛り上げるパートがあったりするのですが、彼女に歌わせるとしっくりくるんですよね。日本語に若干不慣れな感じのイントネーションが逆に良いのでしょうか。

7曲目以降は「エクストラ・マジック・アワー」の作曲を手掛けた鴇沢直らによる最近の楽曲で構成されています。「エクストラ・マジック・アワー」はポジティブなパワーポップで、帰国子女的な快活さ(と暑苦しいくらいの陽気さ)が感じられます。そして、今作のマイベストは「海色」。"海"の広大さと瑞々しさを表現し、ガンガンに飛ばした展開が考える暇もなくただひたすらに気持ちが良いです。2015年のアニソンでも屈指の出来と言えるのでは。続く「The Ghost of You」もアプローチこそちょっと古臭さを感じましたが、力強くキャッチーなロックナンバーになっていて良曲です。

振り返ると、前作「Lost in Time」はアニメ視聴者でないにも関わらず、その独特な世界にどっぷり浸かることのできる名盤でした。そこから8年。結果的にほぼベスト盤の様相を呈した作品にはなりましたが、「海色」のヒットからの良い流れでキャリアの節目を示すことができたアルバムになっていると思います。日本人でありながら、アメリカ育ちの日本人離れしたボーカルが魅力であり、大仰と思えるくらいのスケール感のある曲に対しても全く引けを取らないオーラを感じさせます。昨今のアニソン系女性ボーカリストの台頭に対しても負けていないなと思いますね。「アクエリオン」以降の活動を知らない人にも取っつきやすい作品です。

★★★★☆


こんな機敏なダンスで歌も歌えちゃうのかよ。




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