hawaiibem's music blog

気になる邦楽アルバムを中心に音楽レビューをしていました。

 

オモイメグラス「図解と消えたフィラメント」 

図解と消えたフィラメント
オモイメグラス「図解と消えたフィラメント」
大分出身の男女3人組ロックバンド、オモイメグラスの3rdミニ。
まさに痛快と言えるシャープなサウンド。

「sosを待っていた」は冒頭から焦燥感と切迫感のあるデジタルロックで走り切る曲。電話のSEを効果的に使いながら、畳みかけるように"sos"を連呼する後半の展開が素晴らしい。
「ニュートリノ」は今作のマイベスト。ダークでクールな様に電流が走るがごとく聴き惚れた。高音のシンセの使いどころも上手いし、二段階構成のサビは聴き手を追い詰めるくらいの迫真ぶりが見事。
「事象の果て」はしっとりとしたバラードであり、ピアノ、バイオリン、チェロを主体としたクラシカルな構成。後半は広がりのあるアレンジになるが、繊細なボーカルが一層光る。

「ReS-04-8分後副作用あり」は定番化しているインスト色の強い『ReS』シリーズ。エレクトロな打ち込みと1曲目とも繋がる電話にちなんだサンプリングが絡み合った構成で、妙な中毒性がある。この曲の8分後はちょうど「ハルクイン」なわけだが…
「Na-Aa」はサカナクションの1stみたいな四つ打ちダンスロック。展開にメリハリがあって勢いのあるサビを聴くと元気になる。
「27時、」はテンポの良い展開に清々しさと切なさが入り混じる。メロディーが良く、悲しみを過度に表さないことで余計に響くものがある。
「ハルクイン」はシングル曲。空へと羽ばたいていくような爽快さに彼らの再スタートへの思いが重なっている。多彩な音色を交えて込み入ったアレンジにしているが、一貫した強い芯を感じ取ることができる良いラスト。

メンバーの脱退を経てからの初のアルバム。これまでも平均点の高いバンドとして一目置いていたものの、今作はまさに覚醒したと言っても過言ではないくらいに素晴らしい出来でした。打ち込みやシンセを生かしたアレンジが多く、より攻撃的でシャープなサウンドが目立っています。キャッチーなメロディー、メランコリックでクリアなボーカルもさらにレベルアップしています。ボーカルの表現の幅が広がったのは「ニュートリノ」と「事象の果て」を聴くだけでも明確に分かりますね。痛さや切なさを感じながらも繰り返し聴きたくなる気持ちよさがあり、痛快という言葉がぴったりな作品です。

★★★★☆


中二心をくすぐられるセンス。




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category: アルバムレビュー

杏窪彌「アゴがおちるほどおいしい恋がしたい」 

アゴがおちるほどおいしい恋がしたい
杏窪彌「アゴがおちるほどおいしい恋がしたい」
台北生まれ、東京育ちのエキゾチックポップバンド、杏窪彌(アンアミン)のデモCD。
ホっと一息、台湾時間。

「ホっと茶のうた」はゆる~く"お茶にしよう"とリラックスできる曲。スティールパンの響きとボーカルMINのキュートな歌声に脱力できる。
「我愛バナナ」は『おかあさんといっしょ』で流れていても遜色ない曲。冒頭から"台湾のバナナ ピーナッチョパーナッチョ"…うむ脱力。
「アゴが落ちるほどおいしい恋をしたい」は『食』をテーマにしたテンポの良いコミカルな曲。彼らの曲にしてはかなりテンポが速く、妙なストーリー仕立ての歌詞にラップパートまで添えられて面白かった。若干たどたどしい発音のMINさんが懸命に歌っているのを想像するとなおさら愛らしく聞こえる。

「台湾海峡、冬景色」はタイトルがあからさまにパクリなのだが、旅情的で哀愁のあるメロディーラインが秀逸。台湾語を交えているのも良いね。日本語よりもメロディーへの収まりが良く感じる。
「幾千万年」はスケール感のあるラブソング。二胡やキラキラとした打ち込みを織り交ぜたアレンジが好き。やっぱり"アジア"という大きな括り方にも説得力があるよなあ。
「台北夜曲」は海岸近くで気持ちの良い夜風に吹かれるような情景を思い浮かべるが、日々の移ろいを感じるほんのりと切ない歌詞にしみじみとする。

若手バンド紹介第1弾にて紹介した台湾出身の女性ボーカルのいるバンド。『てづくりCDプロジェクト』と呼ばれる一点一点CDを手作りする企画の第4弾となるアルバムです。台湾らしい『食』をテーマにした前半3曲と、後ろ髪を引かれるセンチな雰囲気の後半3曲という構成。ノスタルジックな歌謡曲とオリエンタルの要素が詰まった親しみやすいメロディーに、日本語の発音が若干怪しいMINさんのふわっと緩めなボーカルが乗るスタイルです。民族楽器を使った演奏もメロディーの良さを一層引き立てています。相対性理論以降のシュール可愛い路線のバンドの一角とも言えるのですが、本場物の異国情緒と愛らしいキャラクターによる癒し度は、類似するバンドと比べても群を抜いて高いです。小旅行気分を味わいたい方、ビビアン・スーが好きな方にもおススメ。

★★★★


温泉旅行の余興に聴いてみたい。


サインつきの封筒に台湾茶ティーパック(先着100名)、キラキラカードも入っていました。
サイン

category: アルバムレビュー

イツエ『「今夜絶対」』 

「今夜絶対」
イツエ『「今夜絶対」』
2010年に結成された男女4人組ロックバンド、イツエの2ndミニ。
今宵限りのドラマをあなたに。

「エピソード」は逆再生されたサウンドの中に語りが入るイントロ。
「告白」 はヒリヒリとした痛みとともに包容力を感じるボーカルワークが魅力的。"それはサイダーの泡のよう"と歌う終盤の開放的なサウンドも心地よさと切なさが同居していて良い。
「ネモフィラ」は2015年1月度マイベスト楽曲。エモーショナルで力強いアンサンブルと伸びやかなボーカルが美しく織り交ざる。やはりハイライトは幻想的なクラップとコーラスのところだね。タイトルに花の名前である「ネモフィラ」を用いているのは、ラストの"赦す"と花言葉が一致しているからだろう。寒色の花畑をイメージしながら聴きたい名曲。

「56番線」はドラマの名場面の一部分を切り取ったような描写に恍惚とさせられる。1番と2番の歌詞の対比もシンプルなんだけど、頭の中で映像化しやすくて良いね。
「トランシーバー」は夜空を泳ぐような爽快なサウンドが気持ち良い。でも歌詞はストーカーがモチーフになっているという…。
「螺旋」は歌謡ロック調の尖ったアレンジで好きな曲。ここまでの曲とタイプがガラッと変わるが、しっかりとモノにしている。

「10番目の月」は数え歌やダンスロックの要素を含んだ曲。韻を踏んだ言葉のテンポの良さが、小悪魔的な"君"に惹かれていく姿を上手く描写している。
「グッドナイト」は大人しい曲かと思いきや、夢見る若者に向けたポジティブなダンスロックだった。サビのコーラスはモロにライブ仕様。
「名前のない花束」はスケールの大きいラブソング。全てを包み込む優しさに満ちたボーカルが凄く素敵。

夜をテーマにしたドラマチックな楽曲が連なった作品。以前はダークでシューゲイザー寄りの音楽という印象を持っており、そこまで興味を持っていなかったのですが、今作は曲調の幅が広がり、1曲ごとの質の高さに圧倒されました。何といっても魅力的なのは、ボーカル瑞葵さんの存在。伸びのある歌声が美しく、オペラやゴスペルには属さないポップな声質が人間味のある優しさや包容力をより醸し出していて、夜の終端、眠りへと安らかに誘ってくれます。そして、バンド演奏も彼女を引き立てるだけに留まらない構成力の高さを見せていました。眠れぬ夜のお供に是非。

★★★★☆


ネモフィラとオオイヌノフグリを混同していた私を赦して下さい。


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