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hawaiibem's music blog

気になる邦楽アルバムを中心に音楽レビューをしていました。

 

村上ユカ「鳥と魚」 

鳥と魚
村上ユカ「鳥と魚」
1997年デビューの女性シンガーソングライター、村上ユカの4th。
活動歴はそこそこ長い方なのですが、2013年になってはじめて聴いたSSW。日本的なテクノポップと瑞々しいボーカルが見事に融合した良盤です。

「るりかあいかそらのいろ」はエレクトロアレンジの中で高らかに歌い上げるボーカルという彼女の特徴が凝縮された一曲。アレンジの音に『声』を合わせにいっていないことが逆にインパクトを生んでいるように思う。自然の壮大さをテクノで歌うというギャップが面白い。
「さかなになって」はテンポ早めのアレンジに対して、ノスタルジックで『和』も感じ取れる緩やかなボーカルが今作中でも特に印象に残った曲。サビ前にボーカルをアレンジに合わせて少々コミカルに早口になる構成も面白いなあ。
「butterfly effect」は歌詞という歌詞がこれといってない実質インスト曲だが、幻想的なコーラスでもはやPerfumeにも引けを取らないクオリティですね。
「花がさいた」はテンポよく進むメロディーが童謡的な親しみやすさがあるんだが、何気にいろんな音を操りまくっていて感心しきりだった曲。アウトロも良いな。
「冬の一日」は全体的にふんわりとしたアレンジで前半の木琴とか多重録音のコーラスが良い感じ。冬とエレクトロの相性の良さ。
「ラムネ坂」はピアノのみのシンプルなアレンジが"ラムネ"の澄んだイメージとも重なり、ノスタルジックで穏やかな気持ちになる癒し曲。

「呼吸世界」からはバリバリテクノポップ路線へ戻る。間奏のオリエンタルなシンセサウンドとコーラスがたまらない。
「あの星の名は」はイントロから好きな曲。懐かしい感じだけどそれにとどまらない新しさもあるというか、不思議な魅力があるよね。
「三つの窓」もイントロから(ry ここまでの3曲の流れは凄く好き。リズミカルにほんのりセンチに、これもちょっと民族音楽っぽさもあり。新居昭乃が影響元らしい。個人的には上野洋子好きでもハマりそうなクセになるメロディーだなとも思った。
「夜の向こう」はピアノの音階的なアレンジがなんだか幻想的な安らぐ曲。
「かなえて」は東日本大震災に際して歌った復興ソング。ピアノのみのしっとりとした演奏に、希望の光を差し込む温かみのあるボーカルがよく映える。

これより前にレビューした新世代宅録女子AZUMA HITOMIが矢野顕子みたいな雰囲気があるのに対し、彼女は自身が影響されたSSWとして名前を挙げている遊佐未森に近いボーカルで、テクノの無機質さに有機的な風を送り込んでいるように感じました。こんな面白い人を聴き逃していたなんて!YMOライクな80年代テクノを音楽的なベースに、往年のニューミュージックにおけるシンガーソングライター的な懐かしさが随所に見られ、非常に親しみやすかったです。サウンド面のバリエーションの豊富さに現代的な匂いを感じさせるが、母親としての包容力いっぱいの音楽で、一聴して受け入れやすいことこの上ないです。先にいろいろ挙げたSSWが好きな方はぜひ。

★★★★☆




yucafePという名前で初音ミク曲も作っているようです。この曲は今作にも収録。


※追記
ご本人よりコメントを頂きました。ありがとうございました。


category: アルバムレビュー

fox capture plan「trinity」 

trinity トリニティ
fox capture plan「trinity」
2011年結成の男性3人組バンド、fox capture planの1stフル。
現代版ジャズ・ロックをコンセプトとしたバンドであり、メンバーはそれぞれ別のバンドでも活躍しています。『三位一体』のアンサンブルによる良質なインストアルバムです。

「polynity」は女性ボーカルがsalyu×salyuやハイスイノナサのように幾何学的に入るイントロ曲で早速ワクワクさせる。
リード曲「衝動の粒子」はミニマルなピアノがキラキラと光る粒のごとく流麗に舵を取りつつ、ドラムとベースの聴きどころもしっかり配置した上質な一曲。2分過ぎたあたりの構成が好きで、各パートが折り重なっていく展開が実に綺麗。終盤にイントロに立ち戻るのは良いが、ここでさらに盛り上がる感じがあっても良かったかも。
「Reincarnation」はピアノソロの静かな始まりから、リズム隊が入るとリズミカルに次々と曲の展開が変わっていく構成。
早急なテンポで導入されるドラムを軸に進行する「Exceed the Limit」も好きな曲だ。ドラムの速さに対するピアノの落ち着きぶりが良い対比に。

表題曲「trinity」はまさにトリオバンドのポテンシャルの高さを感じさせる曲。ギターもストリングスも含まない3つの楽器だけでこんなに深みのある音を出せるのか。
「white ambience」は明るさや温もりを感じるアレンジ。眩しい光が窓から差し込んでくるような、もしくは木漏れ日の中でくつろいでいるような、そんな雰囲気。
「dark matter」は前曲に対して明暗がハッキリと切り替わる。疾走感のあるベースに攻撃的なドラムとピアノが鳴り響き、まがまがしくおどろおどろしい雰囲気を醸し出している。

「wonderwall」はOASISのカバー。ボーカルが元々ある曲ってやはりそれ相応のメロディーになっているんだなと改めて感じる。洋楽詳しくなくても一聴してここまでの曲と何か違うぞと感づく。何の違いなんでしょう。
「good night.」は落ち着きのあるメロディーに心癒されるおやすみソング。
「the beginning of the myth」は1分の曲で、女性が英語で語りを入れる。アウトロなのにこのワクワク感は、次に繋がる感じがして良いね。

例のごとくインストの感想は書き辛いのですが、ジャズをベースにした上質な楽曲が集まったアルバムであることに間違いはないでしょう。主旋律を奏でる楽器がピアノに絞られるため、いずれの楽曲も非常に洗練された印象を受けました。ドラムやベースの音も細部まで掴み取ることができます。変拍子な展開でハッとさせられる曲あり、穏やかでくつろいだ気分を味わえる曲あり。総じて心洗われるような曲で満たされていますが、ダイナミックさやドラマチックさの点ではややインパクト不足に感じるところも。ただ、日本人の作るきめ細やかなポストジャズに新しい風を吹かせてくる存在となるはずなので、今後への期待は大きいですね。

★★★★


あーもうプロフェッショナルって感じ


category: アルバムレビュー

CHEESE CAKE「C」 

C
CHEESE CAKE「C」
福岡出身の男女4人組ポップバンド、CHEESE CAKEのメジャー1stミニ。
閃光ライオット2009で準グランプリ、iTunes NEW ARTISTS 2013でも紹介されたバンドです。この枠では通算5組目のレビュー。

「オオカミ少年」はロックなイントロに始まり、ややテンション低めを維持し続けるボーカルが"ただ真っ直ぐに 歩いていたいのに"や"素直になって 笑っていたいのに"と余韻を残して歌うサビが印象的。アレンジのノリとの対比がなかなか。
「STATION」はちょっと南国気分を味わえるメロディーで"~ション"で韻を踏んだサビに心地よさを感じる曲。パーカッションが良い。歌詞には出ては来ないんだが、『バケーション』という感じも少々。
「君とSOS」はサビから導入され、歯切れ良いリズムでテンポよく進行していく曲。歌詞は電波ソング、ではなく"SOSと言う電波"で私と君が繋がっている的なもの。

「かげろう」は大人しいアレンジに気怠さも漂うが、"人見て笑うなよ 自分見て笑えよ"と力強いメッセージ。
「近すぎて」は流れが変わってキャッチーなノリに。口ずさみやすいし親しみやすい。
「ファンシー」は幻想的な雰囲気とノルタルジックさが相まったラスト曲。子どもと大人の境界に佇むようなコンセプトがこのバンドの一つの特徴だと思う。長めのアウトロも良いね。

少々あどけなさの残る女性ボーカルにしっかりとしたバンド演奏が乗っかるというスタイルは、いかにもチャットモンチー以降の邦ロックという印象を受けるが、飾り過ぎない素朴さみたいなのがある種の魅力に感じるバンドだなと思いました。ほんのり切ないメロディに芯の強いシンプルな言葉を重ねるのが特徴。今作は初音源化となる曲のみを収録したミニアルバムとなっており、先行シングルの「哀しみのブランコ」や「音の無い世界のうさぎ」が入らない仕様にしたのにはちょっと疑問が。この2曲は、華やかなメジャーデビューっぽさがあまりなく、ある意味インパクトがあっただけに、アルバムとして欲しかったなあ。これらを越えるような曲がなかったのでやや物足りなさはありましたが、彼らの魅力を感じるには十分なラインナップです。フルアルバムにも期待。

★★★★


メジャー入りしているが、どことなくインディーズ感があるMV


category: アルバムレビュー

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