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hawaiibem's music blog

気になる邦楽アルバムを中心に音楽レビューをしていました。

 

GOOD BYE APRIL「もうひとりの私」 

もうひとりの私
GOOD BYE APRIL「もうひとりの私」
2010年結成の男女4人組ロックパンド、GOOD BYE APRILの2ndミニ。
Great Hunting注目の若手バンドの一角。色彩豊かに洗練された綺麗なポップスが魅力的です。ジャケが可愛いよね。

「パレードが呼んでる」はリード曲。鮮明な鍵盤の音色に始まり、徐々に盛り上がりを見せ、聴き手をワクワクさせるような展開。テーマとしては"王様"を軸にファンタジックな絵本のような世界が描かている。各楽器がそれぞれの持ち場を侵すことない質の高いアンサンブルが完成している。終盤の観衆のようなSEも最高潮に達するパレードを表現するという意味で実に効果的。
「ブルー・ライト・ブルー」はスローでほのかにセンチメンタルな雰囲気を漂わせる曲。ピアノ間奏が素晴らしく、その後のクリアで高音のボーカルがこれまた良い。
「かくれんぼ」も好きな曲。短音で入るギターと伸びのあるボーカルのコントラストが絶妙。歌詞としては最近の若手が多用しがちなテーマではあるが、みんないろいろ違うイメージを作るねえ。
「バイタルサイン」は『生きている証』という意味を持つタイトル。爽やかですねえ。透明感というとちょっと違う気もするけど、様々な変化を見せながら流れていくメロディーが心地よい。
「負け犬アンカー」はマイナスをプラスに転じさせるタイプの前向きソング。いやー嫌味なしに優等生ぶりが凄い。何目線なのかはともかく一番タイアップをつけやすいイメージ。
「te to te」はラスト曲。一貫して優しかったなあ。大仰になり過ぎないコーラスワークによって、さらっと清々しい余韻が残る。

最初の紹介にロックバンドとは書いたが、実際のところ楽曲は非常にポップス寄り。若手バンドにありがちな初期衝動的な荒っぽさはほとんど見られず、丹念に曲を仕上げてきているという印象が強いです。テーマとするところはファンタジーを含むライトな物語性のある曲、芯の通ったメッセージソングが中心であり、どの曲からも人柄の良さや親しみやすさを感じる。サウンド面ではこれと言う強い特徴こそないが、一曲ごとに色の違いをしっかり出せているのは実力がある証。何より特筆すべきはボーカル。ややハイトーンでクリアな声質は誠実な好青年というイメージで、楽曲の爽やかさを象徴する存在となっている。前作に比べて音のバランス的にボーカルをかなり強くしているのが明らかで、バンドの特徴として良い面を出せているのではないかと思う。私のよく聴く範囲で言えば、ほたる日和とかAPOGEEの永野亮あたりが近いのかな。もっと近い人がいるはずだけど。圧巻や凄味という言葉で形容できるタイプではないが、人に寄り添うようなポップスとしてかなり優良。人の良さに心洗われ、癒しと励ましを与えてくれる一作。

★★★★


王様いい体してるな…


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category: アルバムレビュー

mao「オトノトビラ」 

オトノトビラ
mao「オトノトビラ」
2007年にデビューした女性歌手、maoの3rd。
アニソン、ゲーソン系アーティストを多数抱えるTEAM Entertainment所属の歌手です。デビュー曲がいきなりドラえもんの主題歌「夢をかなえてドラえもん」のボーカルに抜擢される等、名前は知らなくとも声は聴いたことがある方は多くいるのではないかと思います。レーベル的には吉岡亜衣加とセットで覚えてもらえたらよろしいかと。

「Door」はサビに向けて徐々にアクセルを踏んでいくアッパー曲。アッパーとは言ってもしっとりと聴かせる部分もあり、彼女の歌唱の表現の幅広さも窺える。マイナススタートからプラスに転じるサビは常套的だが、歌詞は素直に受け止められる。一曲目として相応しい選曲では。
「君と一緒に」はテーマこそ一人称から二人称に軸を変えるが、全体の雰囲気は前曲と被り気味。
「牡丹の記憶」は昼ドラっぽいタイトルだが、ゲーソン界では知名度の高い霜月はるかの作曲。作詞はmao本人。結構、ニーズに対応して器用に詞も書けるタイプなのか。アレンジは純和風ではないが、和の要素が入り混じった曲はシモツキンらしい。
「まなざしの空」は安瀬聖の作曲。この方とはユニットを組んで活動もしているらしく、作中最も多くクレジットに登場する。曲としてはゆったりと優しく前向きな曲。安らぎます。

「繭」も同じく安瀬氏の曲。落ち着くストリングスアレンジだが、ボーカルは力強く歌う箇所もあり、終盤は良い盛り上がり方を見せる。
「つなぐ想い」はデジタルなアッパー曲。どこで刷り込まれたか知らないが、なんとなくゲーソンの王道なイメージ。具体性のない詞が面白味に欠けるが"君は僕の希望"というフレーズでアレッと思った。
「i loved you」は綺麗なバラード。これもなかなか。極端に哀愁を出し過ぎないというか、本当はもっと悲しいのだけど、そこをぐっと抑えているような感じが伝わってきて余計に共鳴しやすい。
「花のあとさき」はシモツキン作曲の和風曲。今作で一番好きな曲。maoさんが凄いのかシモツキンが凄いのか。それとも安瀬さんのアレンジがいいのか。「牡丹の記憶」以上に和の要素が強くて素晴らしい。

「星の海」は安眠用ソング。「花のあとさき」で盛り上がった後なのでなおさら眠気が。いや、これ褒めてるんですよ。
「Piece」は転じてアッパー。ちょいちょい出てくるなあ。快眠モードになっている矢先に。アッパーになると途端に歌詞が安直になるような気が。
ラストの「オトノトビラ」はアウトロな感じで、実質クライマックスとなる「inhuman the world」はシモツキンとも関わりの深いMANYOの作曲。このレビューを書くにあたってこの界隈の人たちのことを調べていたが、なんかよく分からんことに。純アニソン系とはまた違う世界が広がっているような…それはともかくこの曲、素晴らしい。ストリングスの華やかなアレンジに繊細で伸びのあるボーカル。歌詞も率直なんだけど、ありきたりな言葉を並べるだけでなく、自分なりに文章を綴っている感じがして好印象。木村カエラの「Sun Shower」あたりが好きなら是非。

ゲーソンの勢力図を理解していないので滅多なことは書けないが、激情的や電波的な曲が皆無なあたりは、F.I.X.Recordsの3姉妹と言われるSuaraらとも似た系統に入るだろうか。12曲中7曲がタイアップ曲というとかなり豪華な感じもするが、タイアップ先のゲーム等は全く知らなかった。皮肉なことにシモツキン曲を除けば、タイアップ曲ではない方が個人的にはハマった感じがする。まあこれはたまたまだと思いたいが。とりわけアッパーチューンに捻りがなかったのが残念。この手の曲は前作の方が良かったと思う。逆にミディアム、バラード系に関しては彼女の歌唱の繊細な部分も引き出せていて良曲が多かった印象。元々、彼女の存在をちゃんと認識したのがLinked Horizonの「ルクセンダルク大紀行」収録の「君は僕の希望」だったわけだが、その時のイメージと比べると意外としっとりした曲を歌っている方が地力が発揮されているように思う。1曲目の「Door」のような曲でも良さは出ているとは思うが、パワフルを求め過ぎると他と比較した時にちょっと厳しい点もある。この辺はアッパーだけどほのかに叙情性も含むような曲があれば器用にできそうな気がするので期待したいところ。織田かおりの時も書いたが、ここ所属の人は実力はあるのになかなか日の目を見ないので、頑張ってほしいなあと思います。

★★★★


MVも欲しいよね。


category: アルバムレビュー

さよならポニーテール「青春ファンタジア」 

青春ファンタジア(初回生産限定盤)
さよならポニーテール「青春ファンタジア」
2011年にデビューした音楽グループ、さよならポニーテールの2ndフル。
ClariSと並び、中の人の真の情報が分からないユニット。相対性理論の登場以降、インターネット普及時代に見事なプロモーションを成し得たアーティストの代表的存在ではないかと思います。今作はボーカルが当初の3人から5人となり、華やかさが増した作品になっております。週末ヒロインとモロ被りとか言ってはいけない。

「ぼくらの季節」はユニゾンのサビイントロから入るキャッチーなポップス。ほとんどウィスパー寄りの線の細いボーカルが寄り集まっているのが特徴的。楽曲自体はストリングスを交えた王道の盛り上げ方をしていて素直にクオリティーの高さは感じる。
「女のコとエトセトラ」は懐かしい曲調が安心感を与え、スパイスとしてちょっと可愛いらしいフレーズをサビ前に挟んでいる。
「ヘイ!!にゃん♡」はエレクトロポップで萌え系アイドル路線とでも言うのか、竹達さんとかに歌わせたら破壊力が何十倍にもなりそうな曲。ジャケットの2次元の女の子が好きな人向け。
「わたしの悲しみを盗んだ泥棒」はちょっとウキウキした感じのポップス。歌詞は取り立てて言うことがないがソングライティング力は高いと言って良さそう。

「恋するスポーツ」はエレクトロ度が高くラップパートも入れちゃってる曲。意外とラップ部分が良かったりする。アレンジもなかなか。顔を出しているアイドルが歌うのが憚られるような恥ずかしい詞でも余裕で歌えるのは強み。そこまでの詞でもないか。
「放課後れっすん」は中華風アレンジでやくしまるえつこ的あざとい曲。新規参入の作曲家だからか思い切ったことをしてきた印象。なんかイメージに近づいたのか遠ざかったのかよく分からんなあ。あからさまに狙い過ぎていることだけは確かだが。"ネットで検索「ありえませ~ん!!」"が個人的にありえません。一般的なポップスとして人に薦めづらくなるわ。
「きみに、なりたい」で雰囲気一転。素朴なアコースティックアレンジでメインを張るみぃなさんの柔らかで繊細なボーカルが印象的。さよポニのイメージってこの人の声から始まっているので、やはりさっきの曲は邪道だったのではないかと疑心。
「星屑とコスモス」も同じくみぃな無双。というかこの人くらいしかソロでしっかり歌える人いないのでは。他メンバーは"シャラララ"等の合いの手やハモリに徹している。コーラス部分を歌っている限りは別に問題はないんだけどね。"胸の宇宙の膨張が止まらないよ"という面白いフレーズがようやく出てきた。

「お気に召すままに」もラップパートが中盤にがっつりある。ラップの方がボーカルが5人いることを意識できる。
「きみがみたゴースト」はちょっとファンタジー要素を織り交ぜているが、まったりしているのでいつの間にか終わる。
「飛行少女」は「ヘイ!!にゃん♡」の人の曲か。幅を広げるという意味では良い仕事しているのかな、この人。アレンジはロキノンに出しても通用する部類。もう出てたっけ?この感じのタイトルをやりそうなバンドは多数思い当たる。メロディーだけ拾うと1曲目っぽくもある。割りと好きな曲。
「きみにありがとう」も真面目にポップスやっている。「ファンタジア」という割りには詞はおそろしく普遍的でノーマルなものが多いのね。
「ロマンス」でラスト。曲は穏当だが、何気に詞が全体的に面白い。やっとか。

ジャケット等の雰囲気からはアニソン・キャラソン系っぽいのかなという先入観こそ抱かせるが、中身は驚くほど正統派ポップスであり、良くも悪くも見た目以上に濃度が高い音楽ではない。特に初期作品は思いの外渋いなあとさえ思わせるものだった。今作に関しては、制作者の数が増えたことから分かるように作風の幅が広がったように思う。これまでは意外と薄かった、可愛い系いわゆる萌えを狙った方面にも厚みが増した。加入したボーカルを生かすという意味合いがあるのかは知らないがラップパートのある曲が2つあったのも印象に残った。ただ、それはボーカルを生かせているのか疑問だし、正直一人(みぃな)を除いてメンバー間の声の違いがわかっていない。どう聴き分ければいいのか詳しい方教えてください。
音楽的には、歌謡曲以後のニューミュージック~90年代あたりのポップスの影響が強いため、ちょっと懐かしい雰囲気が漂っている。楽曲の作り方は非常に手堅く、キャッチー度が増したのは良かった。私としてはもうちょっと振り幅があってもと思ったが、多分ボーカルがついて行けない可能性が高い。清純派アイドルっぽさもなくはないが、ちょっとそれとも路線が違う。VOCALOIDの如く楽曲のみを純粋に楽しむことができるのは強みになるかもしれないが、一人よがりな世界観を構築し過ぎると内輪受けな感じがするのが難点。そこまではフォローしきれないし興味が湧かない。ボーカルのキャラづけは一応あるようだが、楽曲からはその設定があまり感じ取れない。MVは実写のものも多くsupercellっぽい誰得な手法を取っているが、別にそのイラストを動かすのでいいのでは。確立したアートワークが既にあるのにそれを生かさないのはなんかチグハグな気がしてならない。ClariS同様、外見のイメージをいくらでも変化させることができるアーティストの方が、むしろ楽曲が保守的というのはなんか面白い傾向だなと。

★★★☆


変な趣味に目覚めても責任は負いません。


category: アルバムレビュー

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