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hawaiibem's music blog

気になる邦楽アルバムを中心に音楽レビューをしていました。

 

虚弱。「孤高の画壇」 

孤高の画壇
虚弱。「孤高の画壇」
平成生まれガールズのインストバンド、虚弱。のデビュー作。
バンド名からは病的でアングラで狂気じみた音楽を想像していたのですが、そういうのはほぼ無し。
ポストロックをベースとしたポップ寄りなインストロックです。

リード曲「哲学者の論破」とか「網膜における抽象画」とか小難しいタイトルに
彼女たちの哲学があるのかもしれませんが、楽曲とのつながりがボヤっとしていて伝わりづらい印象。
メロディーは美しく、一曲ずつ作りこんでいますが、飛び抜けてすごいと思うフレーズは見つからず。
水樹奈々の「METRO BAROQUE」の作曲も手掛けたやしきん氏が作詞作曲した「affection」は
初音ミク曲。どの層がターゲットなんでしょう。
同世代にJ-POPではない新しいジャンルの音楽を提供するという意味では良い題材かもしれませんが、
アルバム全体の印象からすると、中途半端な存在にも感じます。
決して悪い曲ではないんですけどね・・・

ポップなインストを聴くにしては、少しばかり敷居の高さを感じ、
ポストロックを聴くにしては、ライト過ぎる印象もある帯に短し襷に流しな音楽だと思います。
ある意味、ポップスとポストロックの橋渡し的存在になれる可能性もあると言えるでしょうか。

★★★☆

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category: アルバムレビュー

転校生「転校生」 

転校生
転校生「転校生」
熊本出身のシンガーソングライター水本夏絵によるソロプロジェクト、転校生の1st。
2012年デビュー組の中でも最もアーティストとしてのコンセプトがはっきりしている方だと思います。
「生まれた時から転校生だった」という謳い文句はかなり秀逸。
私自身も転校生になった経験があるので、この感覚は少しは共感できますね。

楽曲は序盤3曲が特にインパクトが強いと思いました。
終盤にかけて浮遊感と悲哀で胸がいっぱいになる「空中のダンス」。
可愛げにオブラートに包まない毒を出す「人間関係地獄絵図」。
「東京シティ」は地方出身者の東京への憧れが主題で、珍しく(?)前向きな気持ちが汲み取れます。
次の「エンドロール」でアルバム終わるんじゃないかというくらい前半の内容が濃い反面、
後半はしっとりな曲が多く、ゆったりとフェードアウトしていくような構成になっています。

ひきこもり系ポップスとも呼べそうな新しい(?)ジャンルを開拓し、「外」に出てきた彼女。
個人的には、熊木杏里が1st「殺風景」を出した時と雰囲気が似てるなと感じました。
熊木さんもその後、アルバムごとに少しずつ変化を出して今に至っていますが、
彼女にも今後そういう明るい変化が徐々に出てくるのではないかと密かに期待しています。
もちろんこのキャラクターも面白いと言えば面白いのですが。

★★★★

category: アルバムレビュー

ソノダバンド「火の玉」 

火の玉
ソノダバンド「火の玉」
東大出身の6人組インストバンド、ソノダバンドの新作。
最近のインストバンドの中でも、非常に親しみやすいメロディーが特徴的なバンドです。

ロックテイストの表題曲「火の玉」から始まり、
激しい曲、落ち着いた曲が波のように流れる教科書通りのアルバム構成。
「イマージュ」シリーズに入っててもいいような癒し系の「幸せはぬるま湯」。
「The Coast Session」は彼らの楽曲の中でも鉄板中の鉄板みたいな曲で、印象に残りやすいメロディー。
終盤の「沈む瀬」はしっとりとしたバイオリンメインの曲。これもなかなか。
そして一番いい変化が見られたのが「討入前夜」。
タイトル通り和風な曲ですが、聴き手の想像力をかきたてる曲構成はインストの醍醐味だと感じました。

以上、楽曲は総じて平均点は高いと思います。
ただ、いそうでいなかったバンドだとは思いますが、真に独自性があるかと言われると、そうでもない。
ややバイアスのある見方になってしまいますが、既存の音楽を集約して上手く再構成した優等生どまり
な印象も受けます。
今作でも少し変化が見られましたが、より新しいものを目指せばもっと面白いバンドになるはずです。
上述の「イマージュ」シリーズが好きな人におすすめ。

★★★★

category: アルバムレビュー

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