M-1グランプリ 2015 感想
THE MANZAIの記憶が早くも薄れました。
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というのも、私が漫才というものに本格的に触れたのはM-1第1回大会が最初であり、若手芸人のネタを観る習慣ができたのも、この番組があったからです。当時は関西弁のスピーディーな掛け合いについていけず、ネタの良し悪しが分かったのは翌年の第2回大会からだったと思いますが。そんなわけで、5年ぶりの復活は素直に嬉しいと思ったのと同時に、『伝説』と呼ぶにはあまりにも早いカムバックだったのではないかという複雑な思いも持ちつつ観ていました。
では、感想。
壮大なイントロダクションを経て、審査員として現れたのは歴代の王者9人。これまでのベテラン勢を完全に廃した思い切りの良さはある意味評価したいが、次があるのかはよく分からなくなったなと。大会ルールがこれまでと同じというのは非常に安心して観られたのと、不要だと常々思っていた芸能人ゲストが出演しなかったのは良かったです。
○メイプル超合金
「犬を飼いたい」サンミュージック所属のコンビ歴3年目。男女コンビであり、2人とも見るからにキャラ立ってそうだなという出で立ちでありながら、意外と教科書通りのオーソドックスなネタ運びが好印象だった。てっきり女性がボケなのかと思ったら、妙にガタイのいいコブラの方が輪をかけて変な奴だったのか。"お湯の煮込み"、"確定申告"、"Wi-Fi"といったボキャブラリーもなかなか。テンポの若干の悪さと最後の散らかった部分に甘さがあるが、男女コンビである点が良い意味で気にならない光るものを感じた。
○馬鹿よ貴方は
「おにぎり屋さん」ブラックとナンセンスを散りばめた独特の空気感。脈絡のないワードを繰り出すのは諸刃の剣であり、何を言い出すか分からない奴というイメージがTHE MANZAIですでに出来上がっていることで成立しているネタだと思う。自動ドアを無視して通り抜けるとか割と単純なボケを面白く感じさせるフリにはなっているようだが。"大丈夫"の連呼は放送事故チックで大丈夫ではなかった。SMプレイ並にツッコミがやられっ放しなのが特徴ではあるが、立場が逆転する展開があったら一皮むけそう。
○スーパーマラドーナ
「落ち武者の霊」伏線というほどではないが、フリをしっかりと終盤に活かしていく展開には思わず拍手。終盤の出来を気にする視聴者が多い(と思う)オンバトならボールがいっぱい入りそうなネタだなと。全体通じて満足度は高かったのだが、スケベな部分とガラの悪さがマイナスだったか。
○和牛
「結婚式を抜け出す花嫁」トレンディドラマにありがちな話を題材にロジカルな持論を展開させるネタ。結婚式を抜け出すという非常識さを常識をもって説き伏せるという構図になっている。常識側の理屈は至極真っ当であり、確かになるほどなという笑いは起こるのだが、掛け合いの面白さ・インパクトには欠ける。極端な話、漫談でも成立する。非常識VS非常識でぶつかり合うブラマヨってやはり凄いなと改めて思った次第。
○ジャルジャル
「映画」「スポーツ」お互いの違和感のある発言やアクションをひたすら拾い続けるダブルボケネタ。彼らのネタの中でもすでに知名度がある部類、というか最近このタイプのネタの印象しかない。漫才という枠を超えたやり取りが斬新ではあるが、すでにパターン化しておりストーリーを楽しむ部分がないことが残念。型破りな発想が功を奏して1位抜けをしたものの、2本目で同じタイプのネタを持ってくるM-1常勝パターンが飽きに転じてしまったため優勝は逃した模様。
○銀シャリ
「料理のさしすせそ」「音がうるさい」1本目はあいうえお作文的な定番のテーマではあるが、彼ららしく料理できていたと思う。ツッコミのボキャブラリーもさることながら、ボケも期待を裏切らない捻りがあった。2本目は"砂時計が目覚まし"の件が好きだな。手数も多く勢いもあり、限りなく優勝に近い完成度の高いネタではあったが、ピークを持ってくるのが少し早くも感じた。
○ハライチ
「誘拐犯」"○○の××"のようなフレーズと長いノリツッコミというパターンを浸透させておきながら、今回はそれを封印。決勝進出者で最も知名度があるはずなのだが、最も緊張していたように見えたネタ運び。最下位になるほど悪くはなかったと思うが、岩井の仕事量を増やした結果、変な空気が流れる時間まで増えてしまったのが敗因か。"贅沢をさせる"の流れは人当りの良い彼ららしさが出ていて好きだが。
○タイムマシーン3号
「太らせる能力」10年ぶりの決勝進出。デブキャラを余すとなく使った言葉遊びはボキャブラ天国を彷彿とさせるノリ。まさか"ジョイマン"でここまで笑いをとれるとは思わなかった。後半の展開のとおり、ツッコミは年を追うごとにどんどん前線に出てきているような気がする。ジブリのような版権モノを使うあたりに安っぽさを感じてしまったのは残念。
○トレンディエンジェル
「ハロウィンとクリスマス」「女の子にモテたい」敗者復活枠からの優勝。一気に掻っ攫ったね。髪はないのに華はある。この1週間で作ったであろうネタもあり、流行を取り入れるスピードが非常に早いことに感心せざるを得なかった。とことんくだらないのだけれど、ギャグあり、歌ありと緩急のある構成でとにかく楽しい。オンバトに続きこちらも制するとは…
では、感想。
壮大なイントロダクションを経て、審査員として現れたのは歴代の王者9人。これまでのベテラン勢を完全に廃した思い切りの良さはある意味評価したいが、次があるのかはよく分からなくなったなと。大会ルールがこれまでと同じというのは非常に安心して観られたのと、不要だと常々思っていた芸能人ゲストが出演しなかったのは良かったです。
○メイプル超合金
「犬を飼いたい」サンミュージック所属のコンビ歴3年目。男女コンビであり、2人とも見るからにキャラ立ってそうだなという出で立ちでありながら、意外と教科書通りのオーソドックスなネタ運びが好印象だった。てっきり女性がボケなのかと思ったら、妙にガタイのいいコブラの方が輪をかけて変な奴だったのか。"お湯の煮込み"、"確定申告"、"Wi-Fi"といったボキャブラリーもなかなか。テンポの若干の悪さと最後の散らかった部分に甘さがあるが、男女コンビである点が良い意味で気にならない光るものを感じた。
○馬鹿よ貴方は
「おにぎり屋さん」ブラックとナンセンスを散りばめた独特の空気感。脈絡のないワードを繰り出すのは諸刃の剣であり、何を言い出すか分からない奴というイメージがTHE MANZAIですでに出来上がっていることで成立しているネタだと思う。自動ドアを無視して通り抜けるとか割と単純なボケを面白く感じさせるフリにはなっているようだが。"大丈夫"の連呼は放送事故チックで大丈夫ではなかった。SMプレイ並にツッコミがやられっ放しなのが特徴ではあるが、立場が逆転する展開があったら一皮むけそう。
○スーパーマラドーナ
「落ち武者の霊」伏線というほどではないが、フリをしっかりと終盤に活かしていく展開には思わず拍手。終盤の出来を気にする視聴者が多い(と思う)オンバトならボールがいっぱい入りそうなネタだなと。全体通じて満足度は高かったのだが、スケベな部分とガラの悪さがマイナスだったか。
○和牛
「結婚式を抜け出す花嫁」トレンディドラマにありがちな話を題材にロジカルな持論を展開させるネタ。結婚式を抜け出すという非常識さを常識をもって説き伏せるという構図になっている。常識側の理屈は至極真っ当であり、確かになるほどなという笑いは起こるのだが、掛け合いの面白さ・インパクトには欠ける。極端な話、漫談でも成立する。非常識VS非常識でぶつかり合うブラマヨってやはり凄いなと改めて思った次第。
○ジャルジャル
「映画」「スポーツ」お互いの違和感のある発言やアクションをひたすら拾い続けるダブルボケネタ。彼らのネタの中でもすでに知名度がある部類、というか最近このタイプのネタの印象しかない。漫才という枠を超えたやり取りが斬新ではあるが、すでにパターン化しておりストーリーを楽しむ部分がないことが残念。型破りな発想が功を奏して1位抜けをしたものの、2本目で同じタイプのネタを持ってくるM-1常勝パターンが飽きに転じてしまったため優勝は逃した模様。
○銀シャリ
「料理のさしすせそ」「音がうるさい」1本目はあいうえお作文的な定番のテーマではあるが、彼ららしく料理できていたと思う。ツッコミのボキャブラリーもさることながら、ボケも期待を裏切らない捻りがあった。2本目は"砂時計が目覚まし"の件が好きだな。手数も多く勢いもあり、限りなく優勝に近い完成度の高いネタではあったが、ピークを持ってくるのが少し早くも感じた。
○ハライチ
「誘拐犯」"○○の××"のようなフレーズと長いノリツッコミというパターンを浸透させておきながら、今回はそれを封印。決勝進出者で最も知名度があるはずなのだが、最も緊張していたように見えたネタ運び。最下位になるほど悪くはなかったと思うが、岩井の仕事量を増やした結果、変な空気が流れる時間まで増えてしまったのが敗因か。"贅沢をさせる"の流れは人当りの良い彼ららしさが出ていて好きだが。
○タイムマシーン3号
「太らせる能力」10年ぶりの決勝進出。デブキャラを余すとなく使った言葉遊びはボキャブラ天国を彷彿とさせるノリ。まさか"ジョイマン"でここまで笑いをとれるとは思わなかった。後半の展開のとおり、ツッコミは年を追うごとにどんどん前線に出てきているような気がする。ジブリのような版権モノを使うあたりに安っぽさを感じてしまったのは残念。
○トレンディエンジェル
「ハロウィンとクリスマス」「女の子にモテたい」敗者復活枠からの優勝。一気に掻っ攫ったね。髪はないのに華はある。この1週間で作ったであろうネタもあり、流行を取り入れるスピードが非常に早いことに感心せざるを得なかった。とことんくだらないのだけれど、ギャグあり、歌ありと緩急のある構成でとにかく楽しい。オンバトに続きこちらも制するとは…
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Posted on 2015/12/09 Wed. 23:44 [edit]
category: お笑い
キングオブコント2015 感想
おかげさまで昨年の記事は当ブログの歴代最高アクセス数を独走しています。
何度も書きますが、うちは音楽ブログです。
何度も書きますが、うちは音楽ブログです。
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歴代王者のネタの再放送と誰得な応援メッセージであっとういう間の1時間が経過し、本選がスタート。
審査方法がまた変更され、審査員5名(松本人志、さまぁ~ず、バナナマン)による採点方式となり、ファーストステージの上位5組がファイナルステージに進出して2本のコントの合計点で優勝を決めるというものになった。松本以外の審査員の人選がフレッシュな感じだが、コンビで審査員を務めるというのはこの手の大会でも初なのでは。バナナマン出世したなあ…。MCとしては機能しない松本のポジションを変えたのは良い傾向だとは思う。それにしても毎年のように審査方法が変わるのは面倒くさい。欽ちゃんの仮装大賞並に一貫した方式が定まればいいものだが。
では、感想。
ファーストステージ
○藤崎マーケット 451点
「大道芸人Mr.MASA」『ラララライ』でブレイク後、鳴かず飛ばずな状況が続いていたが、再帰をかけて初のファイナル進出。お金を入れると音楽(なぜかDEEN)に合わせてダンスを始める大道芸人。そこに現れたのは通りすがりの客…ではなく実の父親だったという内容。彼らはオンバトの収録で生で見たことがあるのだが、割と器用だなと感心したことがある。パントマイムあたりにはそういったディテールの良さが出ていたのだが、父親であることが分かってからの展開は普通の親子の間にも見られる情景描写に過ぎず今一つ盛り上がりに欠けた。器用貧乏という印象もあるな。
○ジャングルポケット 445点
「三角関係」彼女を巡って親友間で一気に修羅場の空気となる。劇画的な斉藤のキャラがやはり目を引くのだが、シンプルな構図の中にもこのトリオらしさが詰め込まれていたと思う。終盤の不条理な展開はモラルの問題にもなってくるので、序盤で嫌悪感を抱いてしまった人には笑いづらいネタではあるなと。実は彼女と寝ていないという展開に持って行って、ハッピーな落とし方をしてくれるのではないかという期待もしていたのだが。
○さらば青春の光 419点
「画家の兄」4年連続出場。ゴッホの『ひまわり』を見て感化され、苦悩した兄。しかし8年間で描いた絵はゼロ。演劇的でリアリティもあるボキャブラリーの数々は良いのだが、『絵を描いていない』という核となる展開が読めたのとツッコミの対象がそこに偏ってしまったのがマズかったのでは。「お前、それ芸術関係ないやろー」くらいの突飛なボケが後半にあってもよかったような。
○コロコロチキチキペッパーズ 468点
「小学生と妖精」今大会の無名枠。友達がいない小学生のもとに妖精が現れる。泣いたら天空の世界に帰らなくてはならないというルールのもと親交が始まるかに思えたが…。実に古典的な展開だったが、無駄によく通る声質の妖精のキャラが気色悪さと可愛らしさを同時に帯びていて良い意味で異質だった。出オチ的なのに何度ハケて出てきても面白いという不思議。妖精らしからぬ表情とか細かな部分の演技が上手く笑いに結びついていた。
○うしろシティ 424点
「ゲートボール場に現れた悪魔」老人と悪魔の会話。前のネタと登場人物が偶然にも対照的な感じに。『寿命5年と引き換えに…』という悪魔の契約のコスパが悪く、なかなか乗らない98歳。『実力派コント師になって復活』という前口上が何を今更という感じがしたが、むしろ腕落ちてないかとすら思ってしまった。内容は分かりやすいし、言葉選びも悪くないのだが、キャラクターの性質上スピード感は出せないし、ストーリーとしての運びも意外性がなくて残念だった。
○バンビーノ 455点
「魔法使いと犬」世界征服を企んで呪文を唱える魔法使いを飼い犬が邪魔をする。ファンタジーからいきなり日常を感じさせる関西弁しかり、邪魔はするけど飼い主にとっては可愛い存在の犬しかり、親しみやすさ満点のネタだった。登場人物の関係性で言えば、KOC決勝でも好評だったピースの『伯爵と妖怪』のそれに近いような。やはり現代人はハートフルなものを求めているのだろう。今回のキーフレーズは『ドゥビザ』だったか。想定の範囲外だったなあ。
○ザ・ギース 428点
「銀行強盗コントのリフォーム」7年ぶりの登場。さかなクンが銀行ギョウ盗をするというシュールでダダ滑りのコントから、暗転して劇的ビフォーアフターな展開に。以前からストーリーを破綻させてオチにするというケースはあったのが、それにも増してかなり思い切った構成にしている。けど、ストーリーとしてはメタな方向に進み過ぎて心掴まれるものがなく、あーそういう展開できたかーという感心が先に来てしまったのがもったいない。郷ひろみと和田アキ子の件はいずれにしてもリフォーム失敗だったし、基本的に笑いに対する改善がされていたわけではないので、ホントに三村の一言に尽きるなあ。
○ロッチ 478点
「試着室」5年ぶりの登場。試着室にジーパンを持って入った客。店員がカーテンを開けるが、客は一向にジーパンを履けていない。凄くくだらないのだが、変則的なネタが続いていただけに絶大な安心感があった。ボケの手数は1つだけと言ってもいいくらいなのに、なぜか自然と笑える。中岡のちょっと何考えているのか分からないとぼけたキャラクターも設定にフィットしていた。
○アキナ 437点
「ライブに行けない」親友のペットの容体が悪くなってライブに行けなくなった男。でもそのペットは鳥だった…という愛鳥家からフルボッコにされること請け合いのネタ。漫才にも置き換えられるような問答であり、ブラックマヨネーズあたりならこれきっかけでもっと上手く発展させられる気がする。審査員からも指摘があったけど、普通のセリフが続いた前置きが長過ぎたのが全てか。
○巨匠 428点
「回転寿司の店員」アルバイトで入った回転寿司屋が実は罪人を収容する施設だったという内容。発想が恐ろしくブラック。2chの『かっぱ寿司』のネタを思い起こさせる。こういう笑いは好きなのだが、設定が妙に生々しくて引いてしまう一歩手前な感じがした。何かしたら刑が軽くなるとか、もう少し救いようがあればねえ。
ファイナルステージ
○ジャングルポケット 451点→合計896点
「彼女に会いに行きたい部下と上司」トレンディドラマっぽいありがちなシチュエーションだが、気を利かせた上司の発言が遠回りで…。オーソドックスによくできたネタだと思う。上司と部下2人という設定だったが、上司と部下の2人だけでも成立してしまうストーリーなので、もう1人をいかに使うかが難しいネタだなと。
○藤崎マーケット 442点→合計893点
「恐怖の館」親子関係は逆だが、1本目とテイストは同じ内容。ただ実際は親子ではなかったという気まずい空気に苛まれオチに向かう。またこんな感じかと思ってからの失速ぶりが…。言葉選びにしても、もう少しお化け屋敷という舞台設定が活きればよかったかなと思う。1本目の方が良かったね。
○バンビーノ 471点→合計926点
「マッサージ」ツボを押すと声が出る客を使って遊び倒す店員。徹底的にくだらないんだけど、子供にハマりそうなリズムネタ。1本目もそうであったように、彼らのネタには暗い要素が一切ないのが凄いなと思う。メジャーコードだけで曲を作り続けているような凄さ。逆に真似できる人は少ないのではないだろうか。
○コロコロチキチキペッパーズ 465点→合計933点
「卓球」先輩と後輩のコンビが大会に出て…。surfaceの「さぁ」に合わせたダンス(?)ネタ。完全に「さぁ」ありきの短絡的な発想で作られた馬鹿馬鹿しいネタのだが、顔がついほころぶ。今大会のBGMの選曲はなんなんだ(笑)
○ロッチ 429点→合計907点
「ボクシング」タイトル戦を前に仮病するチャンピオンとその母親のやり取り。小学生と母親の日常的なやり取りをボクシングの世界王者に置き換えてギャップを生んでいる。設定はまずまずだが、後半の失速ぶりがな…。中岡に比べると、コカド起点で笑いを取るのは厳しいのかもな。
【総評】
新参のコロコロチキチキペッパーズが優勝。審査結果は妥当だと思う。発想力では優れているのかもしれないが、負の要素が強いネタは軒並み下位に落ち、発想はベタでも純粋に笑ってしまう明るいネタの方が上位を占めるような結果になった。技術よりもエンターテイメントとしての華があるかが勝敗を分けたといった印象。個人的には下位に沈んだコンビの方が前から好きだった組が多かったので、彼らが結果を残せなかったことが残念ではあったが、タレントとして残りそうなスターを輩出したいという大会の思惑としては良い方に転んだのでは。もともとこれから売り出そうとしていたコロチキに箔を付けただけな気もするが。
審査方法がまた変更され、審査員5名(松本人志、さまぁ~ず、バナナマン)による採点方式となり、ファーストステージの上位5組がファイナルステージに進出して2本のコントの合計点で優勝を決めるというものになった。松本以外の審査員の人選がフレッシュな感じだが、コンビで審査員を務めるというのはこの手の大会でも初なのでは。バナナマン出世したなあ…。MCとしては機能しない松本のポジションを変えたのは良い傾向だとは思う。それにしても毎年のように審査方法が変わるのは面倒くさい。欽ちゃんの仮装大賞並に一貫した方式が定まればいいものだが。
では、感想。
ファーストステージ
○藤崎マーケット 451点
「大道芸人Mr.MASA」『ラララライ』でブレイク後、鳴かず飛ばずな状況が続いていたが、再帰をかけて初のファイナル進出。お金を入れると音楽(なぜかDEEN)に合わせてダンスを始める大道芸人。そこに現れたのは通りすがりの客…ではなく実の父親だったという内容。彼らはオンバトの収録で生で見たことがあるのだが、割と器用だなと感心したことがある。パントマイムあたりにはそういったディテールの良さが出ていたのだが、父親であることが分かってからの展開は普通の親子の間にも見られる情景描写に過ぎず今一つ盛り上がりに欠けた。器用貧乏という印象もあるな。
○ジャングルポケット 445点
「三角関係」彼女を巡って親友間で一気に修羅場の空気となる。劇画的な斉藤のキャラがやはり目を引くのだが、シンプルな構図の中にもこのトリオらしさが詰め込まれていたと思う。終盤の不条理な展開はモラルの問題にもなってくるので、序盤で嫌悪感を抱いてしまった人には笑いづらいネタではあるなと。実は彼女と寝ていないという展開に持って行って、ハッピーな落とし方をしてくれるのではないかという期待もしていたのだが。
○さらば青春の光 419点
「画家の兄」4年連続出場。ゴッホの『ひまわり』を見て感化され、苦悩した兄。しかし8年間で描いた絵はゼロ。演劇的でリアリティもあるボキャブラリーの数々は良いのだが、『絵を描いていない』という核となる展開が読めたのとツッコミの対象がそこに偏ってしまったのがマズかったのでは。「お前、それ芸術関係ないやろー」くらいの突飛なボケが後半にあってもよかったような。
○コロコロチキチキペッパーズ 468点
「小学生と妖精」今大会の無名枠。友達がいない小学生のもとに妖精が現れる。泣いたら天空の世界に帰らなくてはならないというルールのもと親交が始まるかに思えたが…。実に古典的な展開だったが、無駄によく通る声質の妖精のキャラが気色悪さと可愛らしさを同時に帯びていて良い意味で異質だった。出オチ的なのに何度ハケて出てきても面白いという不思議。妖精らしからぬ表情とか細かな部分の演技が上手く笑いに結びついていた。
○うしろシティ 424点
「ゲートボール場に現れた悪魔」老人と悪魔の会話。前のネタと登場人物が偶然にも対照的な感じに。『寿命5年と引き換えに…』という悪魔の契約のコスパが悪く、なかなか乗らない98歳。『実力派コント師になって復活』という前口上が何を今更という感じがしたが、むしろ腕落ちてないかとすら思ってしまった。内容は分かりやすいし、言葉選びも悪くないのだが、キャラクターの性質上スピード感は出せないし、ストーリーとしての運びも意外性がなくて残念だった。
○バンビーノ 455点
「魔法使いと犬」世界征服を企んで呪文を唱える魔法使いを飼い犬が邪魔をする。ファンタジーからいきなり日常を感じさせる関西弁しかり、邪魔はするけど飼い主にとっては可愛い存在の犬しかり、親しみやすさ満点のネタだった。登場人物の関係性で言えば、KOC決勝でも好評だったピースの『伯爵と妖怪』のそれに近いような。やはり現代人はハートフルなものを求めているのだろう。今回のキーフレーズは『ドゥビザ』だったか。想定の範囲外だったなあ。
○ザ・ギース 428点
「銀行強盗コントのリフォーム」7年ぶりの登場。さかなクンが銀行ギョウ盗をするというシュールでダダ滑りのコントから、暗転して劇的ビフォーアフターな展開に。以前からストーリーを破綻させてオチにするというケースはあったのが、それにも増してかなり思い切った構成にしている。けど、ストーリーとしてはメタな方向に進み過ぎて心掴まれるものがなく、あーそういう展開できたかーという感心が先に来てしまったのがもったいない。郷ひろみと和田アキ子の件はいずれにしてもリフォーム失敗だったし、基本的に笑いに対する改善がされていたわけではないので、ホントに三村の一言に尽きるなあ。
○ロッチ 478点
「試着室」5年ぶりの登場。試着室にジーパンを持って入った客。店員がカーテンを開けるが、客は一向にジーパンを履けていない。凄くくだらないのだが、変則的なネタが続いていただけに絶大な安心感があった。ボケの手数は1つだけと言ってもいいくらいなのに、なぜか自然と笑える。中岡のちょっと何考えているのか分からないとぼけたキャラクターも設定にフィットしていた。
○アキナ 437点
「ライブに行けない」親友のペットの容体が悪くなってライブに行けなくなった男。でもそのペットは鳥だった…という愛鳥家からフルボッコにされること請け合いのネタ。漫才にも置き換えられるような問答であり、ブラックマヨネーズあたりならこれきっかけでもっと上手く発展させられる気がする。審査員からも指摘があったけど、普通のセリフが続いた前置きが長過ぎたのが全てか。
○巨匠 428点
「回転寿司の店員」アルバイトで入った回転寿司屋が実は罪人を収容する施設だったという内容。発想が恐ろしくブラック。2chの『かっぱ寿司』のネタを思い起こさせる。こういう笑いは好きなのだが、設定が妙に生々しくて引いてしまう一歩手前な感じがした。何かしたら刑が軽くなるとか、もう少し救いようがあればねえ。
ファイナルステージ
○ジャングルポケット 451点→合計896点
「彼女に会いに行きたい部下と上司」トレンディドラマっぽいありがちなシチュエーションだが、気を利かせた上司の発言が遠回りで…。オーソドックスによくできたネタだと思う。上司と部下2人という設定だったが、上司と部下の2人だけでも成立してしまうストーリーなので、もう1人をいかに使うかが難しいネタだなと。
○藤崎マーケット 442点→合計893点
「恐怖の館」親子関係は逆だが、1本目とテイストは同じ内容。ただ実際は親子ではなかったという気まずい空気に苛まれオチに向かう。またこんな感じかと思ってからの失速ぶりが…。言葉選びにしても、もう少しお化け屋敷という舞台設定が活きればよかったかなと思う。1本目の方が良かったね。
○バンビーノ 471点→合計926点
「マッサージ」ツボを押すと声が出る客を使って遊び倒す店員。徹底的にくだらないんだけど、子供にハマりそうなリズムネタ。1本目もそうであったように、彼らのネタには暗い要素が一切ないのが凄いなと思う。メジャーコードだけで曲を作り続けているような凄さ。逆に真似できる人は少ないのではないだろうか。
○コロコロチキチキペッパーズ 465点→合計933点
「卓球」先輩と後輩のコンビが大会に出て…。surfaceの「さぁ」に合わせたダンス(?)ネタ。完全に「さぁ」ありきの短絡的な発想で作られた馬鹿馬鹿しいネタのだが、顔がついほころぶ。今大会のBGMの選曲はなんなんだ(笑)
○ロッチ 429点→合計907点
「ボクシング」タイトル戦を前に仮病するチャンピオンとその母親のやり取り。小学生と母親の日常的なやり取りをボクシングの世界王者に置き換えてギャップを生んでいる。設定はまずまずだが、後半の失速ぶりがな…。中岡に比べると、コカド起点で笑いを取るのは厳しいのかもな。
【総評】
新参のコロコロチキチキペッパーズが優勝。審査結果は妥当だと思う。発想力では優れているのかもしれないが、負の要素が強いネタは軒並み下位に落ち、発想はベタでも純粋に笑ってしまう明るいネタの方が上位を占めるような結果になった。技術よりもエンターテイメントとしての華があるかが勝敗を分けたといった印象。個人的には下位に沈んだコンビの方が前から好きだった組が多かったので、彼らが結果を残せなかったことが残念ではあったが、タレントとして残りそうなスターを輩出したいという大会の思惑としては良い方に転んだのでは。もともとこれから売り出そうとしていたコロチキに箔を付けただけな気もするが。
Posted on 2015/10/12 Mon. 14:38 [edit]
category: お笑い
R-1ぐらんぷり 2015 感想
平日には放送しないでもらいたいです。
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○ルール
決勝進出者9名+「復活ステージ」を勝ち抜いた3名の計12名によるトーナメント方式。各ブロック4名の中の1位がファイナルステージへ進出し、3名がもう一度ネタをやり優勝を決める。
【Aブロック】
○ゆりやんレトリィバァ→ファイナル進出
「アカデミー賞の授賞式」山田花子みたいな中性的な風貌の女芸人。NSCを首席で卒業という偉いのかよく分からない経歴の持ち主。オスカー獲得女優による英語と関西弁をハイブリッドさせた一言ネタ。英語の発音が良いだけに関西弁によるネタが良いフリになっていた。ただ、肝心のネタの内容についてはまだまだ発展途上かな。ネタ終わり後に司会者に寄ってきたのが一番面白かった。
○あばれる君
「校庭の分割統治」小学6年生を相手に、仲間に演説する小学3年生。あるあると非あるあるの融合を劇画的に描く彼らしいネタ。「地上の星」をBGMにプロジェクトX風の様相。言葉選びは良いが構成は粗いな。いかに独りよがりにならないかが難しいタイプなだけに、後半の展開が弱く感じてならなかった。
○とにかく明るい安村
「いろいろな職業の全裸ポーズ」元アームストロング。パンツ一丁の出で立ちで登場。パンツを履いているのに全裸に見えるポーズを職業別に披露。なんというか宴会芸の域。AKB48の場合は股間以外も隠さないとダメじゃないのか。オチのお辞儀も全裸に見えるという徹底ぶりはよかった。
○COWCOW善し(復活ステージ3位)
「テトリス」映像を使った一人ツッコミネタ。可愛らしいタッチのイラストによる毒のないネタ。前3人に比べて非常にオーソドックスで安心して見られる内容だった。あえてアニメーション的にせずに、ブロック登場から落ちるまでの間を作ったあたりも上手いと感じた。強いて言えば強烈なインパクトが残らなかったというのがこの結果か。BGMも自分でやるんだ。
【Bブロック】
○厚切りジェイソン
「漢字」芸歴4ヶ月のアメリカ人。漢字のつくりと意味に着目して"Why Japanese people?"と雄叫びを上げる。ギャップによる笑いを生みやすい外国人キャラとしてのネタだけではなく、着眼点の良さが光っていた。エロやブラックもテンポよく混ぜてくるとは。"女を台に乗せて何を始めるんですか!?"が最高。
○エハラマサヒロ
「北斗晶による0.5秒モノマネ」久々の決勝進出。遠藤要という俳優のモノマネ…というか似ている人。伝わり辛いモノマネのオンパレード。これも構成ラフだな。だんだんベースとしている人のマネが似なくなってくるのは、ホリのキムタクあたりに近いものを感じる。『小田和正』や『亀仙人』とか見てるポイントは悪くないけど、爆笑取れるネタじゃないのは自明だろう。
○アジアン馬場園
「レジの店員」アジアンの太い方。客が買ったものから何を作るのか予想するパートのおばちゃん。客がいなくなってから、外に出てアレコレとバーコードを読み取るように茶々を入れる。弁当でテンション落とした件がピークだったな。全体的にボケが弱過ぎる。
○マツモトクラブ(復活ステージ2位)→ファイナル進出
「ストリートミュージシャンの客」いつまでも帰らない客とミュージシャンの掛け合い。演技力、ドラマ性、ボケのテンポの良さと素晴らしいセンス。演者のボケに対して音声によるツッコミが入るという構成も意外な目新しさがあった。内村さまぁ~ずで観たネタだったが、やっぱりハーモニカ吹き始める件にはお茶吹きそうになった。
【Cブロック】
○NON STYLE石田
「痩せるクリームのセールスマン」NON STYLEの白い方。クリームを塗ったらこんな変化が…というフリップ芸。まずあのCMってそんなに知名度あるのかというのが引っかかったが、それ以上に版権モノを使っておきながら予想を越えてこないボケが残念でならなかった。あばれヌンチャクがやったら、もっと勢いのある良いネタになっていたんじゃないかなあ…
○やまもとまさみ
「催眠術にかかった先生」前回の覇者。優勝したにもかかわらず露出が増えた様子がなく、今回も連覇を狙いに出場。生徒の催眠術によってティラノサウルスになった先生。コミカルな形態模写の達者ぶりが光っていた。いや、実際どうなのか知らんのだけど。ネタとしてはもう一つ状況転換が欲しく、物足りなさはあった。
○じゅんいちダビッドソン→ファイナル進出
「本田圭佑のショートコント」元ミスマッチグルメと言っても分かり辛いが、『本田圭佑のモノマネ』と言えばだいぶ通用するようになった人。ポカーンとなりそうなコントを演じた後に、独自の語録でそのネタの内容を説明するという流れ。一種の滑り芸みたいな構成なのだが、ネタの核を説明部分に置いている着想が面白かった。本物の本田に比べて瞬発力は皆無に等しいけど。
○ヒューマン中村(復活ステージ1位)
「五七五」"幸せな恋人たちの五七五"に対して"それを見たモテない僕らの五七五"を詠む非リア充なフリップ芸。こういうアプローチは2chの方が切れ味あるから、実際にテレビでやられるときついものがある。それはさておき、やっぱり引き込まれる力に欠けるのは、彼があまりにも常識人な素人の風貌だからだろうか。
【ファイナルステージ】
○ゆりやんレトリィバァ
「女スパイ」アメリカ人の細か過ぎるモノマネ。一個ずつのネタを繋ぎあわせただけの若いネタではあったが、出オチ的なキャラクターに頼らない、しっかりとした芝居と英語で挑んできた。友近のような一貫した世界が生み出せればさらに良くなりそう。
○マツモトクラブ
「神社のお参り」長過ぎる願い事に対して神様からクレームが入る。無双過ぎる神様に翻弄される参拝客。ちゃんとしたストーリーを短時間で作ってきているのが良いね。所沢嫌がり過ぎワロタ。
○じゅんいちダビッドソン→優勝
「スーパーの店員をする本田圭佑」客のクレーム対応をする本田。そうそう、こういうコント一本で観たかったんだよ。マツモトクラブのネタも結構好きだったが、彼の方が持っていたか。本田というキャラクター以外での笑いも作れていたし、語録の当て嵌め方もよく練られていた。
【総評】
翌日の祝日に放送すれば良かったんじゃないでしょうか。
決勝進出者9名+「復活ステージ」を勝ち抜いた3名の計12名によるトーナメント方式。各ブロック4名の中の1位がファイナルステージへ進出し、3名がもう一度ネタをやり優勝を決める。
【Aブロック】
○ゆりやんレトリィバァ→ファイナル進出
「アカデミー賞の授賞式」山田花子みたいな中性的な風貌の女芸人。NSCを首席で卒業という偉いのかよく分からない経歴の持ち主。オスカー獲得女優による英語と関西弁をハイブリッドさせた一言ネタ。英語の発音が良いだけに関西弁によるネタが良いフリになっていた。ただ、肝心のネタの内容についてはまだまだ発展途上かな。ネタ終わり後に司会者に寄ってきたのが一番面白かった。
○あばれる君
「校庭の分割統治」小学6年生を相手に、仲間に演説する小学3年生。あるあると非あるあるの融合を劇画的に描く彼らしいネタ。「地上の星」をBGMにプロジェクトX風の様相。言葉選びは良いが構成は粗いな。いかに独りよがりにならないかが難しいタイプなだけに、後半の展開が弱く感じてならなかった。
○とにかく明るい安村
「いろいろな職業の全裸ポーズ」元アームストロング。パンツ一丁の出で立ちで登場。パンツを履いているのに全裸に見えるポーズを職業別に披露。なんというか宴会芸の域。AKB48の場合は股間以外も隠さないとダメじゃないのか。オチのお辞儀も全裸に見えるという徹底ぶりはよかった。
○COWCOW善し(復活ステージ3位)
「テトリス」映像を使った一人ツッコミネタ。可愛らしいタッチのイラストによる毒のないネタ。前3人に比べて非常にオーソドックスで安心して見られる内容だった。あえてアニメーション的にせずに、ブロック登場から落ちるまでの間を作ったあたりも上手いと感じた。強いて言えば強烈なインパクトが残らなかったというのがこの結果か。BGMも自分でやるんだ。
【Bブロック】
○厚切りジェイソン
「漢字」芸歴4ヶ月のアメリカ人。漢字のつくりと意味に着目して"Why Japanese people?"と雄叫びを上げる。ギャップによる笑いを生みやすい外国人キャラとしてのネタだけではなく、着眼点の良さが光っていた。エロやブラックもテンポよく混ぜてくるとは。"女を台に乗せて何を始めるんですか!?"が最高。
○エハラマサヒロ
「北斗晶による0.5秒モノマネ」久々の決勝進出。遠藤要という俳優のモノマネ…というか似ている人。伝わり辛いモノマネのオンパレード。これも構成ラフだな。だんだんベースとしている人のマネが似なくなってくるのは、ホリのキムタクあたりに近いものを感じる。『小田和正』や『亀仙人』とか見てるポイントは悪くないけど、爆笑取れるネタじゃないのは自明だろう。
○アジアン馬場園
「レジの店員」アジアンの太い方。客が買ったものから何を作るのか予想するパートのおばちゃん。客がいなくなってから、外に出てアレコレとバーコードを読み取るように茶々を入れる。弁当でテンション落とした件がピークだったな。全体的にボケが弱過ぎる。
○マツモトクラブ(復活ステージ2位)→ファイナル進出
「ストリートミュージシャンの客」いつまでも帰らない客とミュージシャンの掛け合い。演技力、ドラマ性、ボケのテンポの良さと素晴らしいセンス。演者のボケに対して音声によるツッコミが入るという構成も意外な目新しさがあった。内村さまぁ~ずで観たネタだったが、やっぱりハーモニカ吹き始める件にはお茶吹きそうになった。
【Cブロック】
○NON STYLE石田
「痩せるクリームのセールスマン」NON STYLEの白い方。クリームを塗ったらこんな変化が…というフリップ芸。まずあのCMってそんなに知名度あるのかというのが引っかかったが、それ以上に版権モノを使っておきながら予想を越えてこないボケが残念でならなかった。あばれヌンチャクがやったら、もっと勢いのある良いネタになっていたんじゃないかなあ…
○やまもとまさみ
「催眠術にかかった先生」前回の覇者。優勝したにもかかわらず露出が増えた様子がなく、今回も連覇を狙いに出場。生徒の催眠術によってティラノサウルスになった先生。コミカルな形態模写の達者ぶりが光っていた。いや、実際どうなのか知らんのだけど。ネタとしてはもう一つ状況転換が欲しく、物足りなさはあった。
○じゅんいちダビッドソン→ファイナル進出
「本田圭佑のショートコント」元ミスマッチグルメと言っても分かり辛いが、『本田圭佑のモノマネ』と言えばだいぶ通用するようになった人。ポカーンとなりそうなコントを演じた後に、独自の語録でそのネタの内容を説明するという流れ。一種の滑り芸みたいな構成なのだが、ネタの核を説明部分に置いている着想が面白かった。本物の本田に比べて瞬発力は皆無に等しいけど。
○ヒューマン中村(復活ステージ1位)
「五七五」"幸せな恋人たちの五七五"に対して"それを見たモテない僕らの五七五"を詠む非リア充なフリップ芸。こういうアプローチは2chの方が切れ味あるから、実際にテレビでやられるときついものがある。それはさておき、やっぱり引き込まれる力に欠けるのは、彼があまりにも常識人な素人の風貌だからだろうか。
【ファイナルステージ】
○ゆりやんレトリィバァ
「女スパイ」アメリカ人の細か過ぎるモノマネ。一個ずつのネタを繋ぎあわせただけの若いネタではあったが、出オチ的なキャラクターに頼らない、しっかりとした芝居と英語で挑んできた。友近のような一貫した世界が生み出せればさらに良くなりそう。
○マツモトクラブ
「神社のお参り」長過ぎる願い事に対して神様からクレームが入る。無双過ぎる神様に翻弄される参拝客。ちゃんとしたストーリーを短時間で作ってきているのが良いね。所沢嫌がり過ぎワロタ。
○じゅんいちダビッドソン→優勝
「スーパーの店員をする本田圭佑」客のクレーム対応をする本田。そうそう、こういうコント一本で観たかったんだよ。マツモトクラブのネタも結構好きだったが、彼の方が持っていたか。本田というキャラクター以外での笑いも作れていたし、語録の当て嵌め方もよく練られていた。
【総評】
翌日の祝日に放送すれば良かったんじゃないでしょうか。
Posted on 2015/02/10 Tue. 23:04 [edit]
category: お笑い