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気になる邦楽アルバムを中心に音楽レビューをしていました。

 

ヤーチャイカ「ふぁるすふろむあばゔ」 

ふぁるすふろむあばヴ
ヤーチャイカ「ふぁるすふろむあばゔ」
2008年結成の男女4人組バンド、ヤーチャイカの2nd。
くせ者だけどなんだか懐かしさもあり憎めないカオスティックな作風。

不穏だけど病みつきになる可能性も秘めている「F(f)FA」からスタート。いきなりタイトルが訳わからないが、アルバムタイトルを英語にしたら頭文字はこうなるみたい。
リード曲の「散ル散ル満チル」は和風、歌謡曲風で今作を聴くきっかけになった曲。怪しいけど、クセになるキャッチーさもあり気に入っている。歌詞は古語的な言い回しにノスタルジーなワードを取り入れて独自の道を突っ走ろうとしている。
「潮騒のメロディが聴こえる」も前の「散ル散ル満チル」と同じく非常にキャッチーなイントロに、和なメロディーラインがツボにハマった曲。騒がしいアレンジだけど歌モノなので安心。ピアノも良い良い。
「鈍亀」は重低音なバンドサウンドが特徴。早口パートも含むボーカルが歌うボキャブラリー豊富な歌詞は言葉の一つ一つが気になって結局全体が掴めていない。

「若者なんです」は比較的穏やかでどこかで聴いたような素朴なメロディー。"○ーメン"とかさりげなく刺激的なワードも含んでいるけど、独特な主張とセンチメンタルさがいい味を出している。
「太陽のトーチカ」は物語性の強いアッパー曲。「散ル散ル満チル」と同じようなメロディーを使っていて二番煎じ(どっちが先か分からないが)な感じはするが、まあいいか。
「ガーゼの森に」も絵本的なメルヘンさと現実に引き戻されるワードの散りばめ方が面白い曲。哀愁のある間奏が好きだなあ。
「ふぁるすふろむあばゔ」は穏やかなピアノと鈴だけのアレンジのラスト曲。フィッシュマンズ的な儚げな雰囲気。フィッシュマンズあまり聴いてないけど。

『フィッシュマンズ、フジファブリック、たまファン必聴!』という宣伝文句があり、私も最初聴いた時にたまっぽいなあと思ったバンドです。確かにこれらのバンドに音楽性は近く、特に男性ボーカルはフィッシュマンズやたまを完全に継承しています。ロキノンの王道な音と近寄りがたいアングラでインディーな音の狭間にあるような、とどのつまり邦ロックからしか生まれないような音楽性。歌謡、サイケ、幻想…と当てはまりそうなジャンルはいろいろありますが、あれこれ取り入れてカオスになっています。決して明るい作風ではないですが、暴力性とかは一切感じないので聴きにくい音楽というわけではなく懐かしさが先行しました。文学的で古語的な歌詞は耳に残りますが、一聴して凄味を感じるほどのインパクトがあるものは意外と少数派な印象。何度も聴いているとじわじわと来ますが、この辺はやはりシンプルに深みを出していた先人たちの方がまだまだ一枚上手ですかね。ただ、幻想と現実を同居させた言葉選びの独創性は評価されるべきところだと思います。一筋縄ではいかない作風のバンドですが、クセになる要素はふんだんにあるので、とりわけインディーで捻くれた音楽が好きな方はぜひ。

★★★★


意外というのもアレですが、ボーカルはイケメン風


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